2013 Fiscal Year Annual Research Report
癌幹細胞と上皮間葉転換を誘導するシグナル伝達経路を標的とした頭頸部癌治療の研究
Project/Area Number |
24791806
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 陽一郎 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (40624440)
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Keywords | 頭頸部癌 / 上皮間葉移行 / 癌幹細胞 |
Research Abstract |
頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)細胞株HSC4、SAS、SCC4(舌扁平上皮癌株)に対し上皮間葉移行(EMT)を誘導し、細胞形態の観察を行いEMT指標となる因子の変化を確認、癌幹細胞マーカーの発現変化を調べた。 色素排泄法によりflowcytometryにてsortingし、色素排泄能の高いSP細胞と低いnonSP細胞を分離させ癌幹細胞を抽出し、癌幹細胞関連遺伝子の発現を比較すると転写因子Oct3/4、Nanogの発現がSP細胞にて強く、細胞遊走能および浸潤能についてもSP細胞において高かった。 また、舌部分切除を行ったstage I/II舌扁平上皮癌症例37例の臨床検体においてEMT関連因子の免疫組織化学染色を行った。後発転移をきたした13例でE-cadherin(CDH1)の発現低下をみとめ、EMT関連因子であるSIP1の発現亢進を認めた。すなわち頭頸部癌(舌癌)においてSIP1がCDH1転写抑制因子となっており、舌癌後発頸部リンパ節転移はEMTと関連していると考えられた。 以上を踏まえ、SP細胞におけるEMT関連因子を調べるためSP細胞とMP細胞に対しmicroarrayを行い比較すると、EMT関連因子、CDH1,S1P1,などは明らかな差はなかったが、前述の検体に癌幹細胞マーカーの免疫組織化学染色を行ったところ、後発転移をきたした13症例はOct3/4とNanogの発現が有意に高かった。 このことからEMTを介して後発転移をきたした症例にOct3/4とNanogの発現が関連し、これらを発現する癌幹細胞様細胞の存在が、細胞遊走能および浸潤能を亢進し、EMTを誘導した結果stage I/II舌扁平上皮癌の後発転移をきたしていると考えられ、このことからOct3/4,Nanogなどの癌幹細胞をターゲットとした再発・転移抑制の新規治療につながる可能性が示唆された。
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