2012 Fiscal Year Research-status Report
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24791807
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
笠井 美里 順天堂大学, 医学部, 助教 (70549279)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 遺伝性難聴 |
Research Abstract |
先天性難聴の根本的原因として遺伝子変異がその半数以上に寄与することは知られている。また、先天性の難聴者は平衡機能の障害を持ち合わせることも知られている。研究代表者らは遺伝性難聴で最も高頻度に検出される原因遺伝子であるコネキシン26遺伝子、Gjb2の変異が聴力のみならず平衡機能にも影響を与える可能性を示唆した(Kasai et al. Acta Otolaryngol 2010)。 本研究では先天性難聴者に対する多項目遺伝子解析(GJB2、ミトコンドリアDNA1555変異、Gjb6、 COCH、SLC26A4等)を行い、検出された変異に伴う運動機能、平衡機能の客観的評価を行い既存の難聴遺伝子をimbalance gene(平衡失調遺伝子)としても同定し前庭機能のメカニズムの解析を行った。 これまでの成果では順天堂医院における遺伝性難聴家系解析より新たなGJB2遺伝子変異を発見し報告した(Hayashi C et al. Int J Pediatr Otorhinolaryngol. 2011)。更に、先天性難聴患者への将来的な平衡機能異常に対する治療開発を目的とした前庭および半規管への遺伝子導入法の検討をマウスにより行い、有効な遺伝子導入条件が得られたためこれを論文発表した(Okada H et al. Otology & Neurotology, 2012)。これらの成果により先天性難聴遺伝子と平衡機能の関連を示す新規な知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順天堂医院、難聴外来からの遺伝子解析のサンプル数は順調に増加しており、予定通りの遺伝子サンプルが得られている。データ解析等に時間を要するが、今後は得られた情報からの新規原因遺伝子や新規変異の探索と臨床データの相関性解析を進めるとともに平衡機能検査との関連性の考察を進めていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
難聴遺伝子変異検出法の検討:末梢採血をIso code I.Dにて採取(指先から直接塗布)。Iso code I.Dとは生物学的サンプルや臨床サンプルからDNAを抽出するための濾紙である。手順に従いIso code I.DよりゲノムDNAを抽出する。次に、代表的な難聴遺伝子であるGJB2、GJB6、SLC26A4、COCH、mitochondriaA1555GのPCR direct sequenceと、ミトコンドリアDNAのRFLP(制限酵素断片長多型)によって変異の有無を検証する。以上の実験を行うにあたり必要な実験機器、すなわちPCR system、Auto sequencer、Thermometer、電気泳動装置等はほぼ当教室に揃っている。消耗品の試薬が主な必要経費となると思われる。 難聴遺伝子解析については同大学にて採血時に患者本人、もしくは患者本人が未成年の場合は保護者から書面にて同意を得ており、当教室でも控えを所有している。また、同大学での倫理委員会で承認されている。当院の倫理委員会申請書の承諾も獲得済みである。当然のことながら患者の個人情報漏洩に当たっては細心の注意を払う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は難聴遺伝子検査費用および変異遺伝子の機能解析およびそれにかかわる試薬消耗品・プラスチック用品・器具等により実験を行う。データ解析、結果報告のためのパソコンソフトや事務用品、パソコン周辺機器も必要に応じて購入し効率的なでデータ解析を進める予定である。国内外の学会・研究会にも積極的に参加し、得られたデータに関する議論や最新知見の情報交換を行うための旅費・参加費への支出も予定している。
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Research Products
(1 results)