2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24791807
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
笠井 美里 順天堂大学, 医学部, 助教 (70549279)
|
Keywords | 難聴遺伝子 / 前庭機能 / GJB2 |
Research Abstract |
蝸牛と前庭は発生学的、解剖学的にも密接な関係にあり、難聴をきたす遺伝子は平衡機能障害もきたし得る。平衡機能は人間が生きていく上で非常に重要な感覚であるが、聴覚障害者における平衡機能に関する報告は数少ない。先天性聴覚障害者の平衡機能に関しては、幼児では健常児よりも劣っているという報告が散見するのみである。近年の分子生物学の進歩により約1000出生に1人の割合で出生する先天性難聴者の根本的原因として遺伝子変異の関与が明確となった。代表的な難聴遺伝子としては、ギャップ結合蛋白をコードするGJB2遺伝子の変異やミトコンドリア遺伝子変異、内耳の構成蛋白であるcochlinをコードするCOCH遺伝子の変異、同じく内耳の構成蛋白であるペンドリンをコードするSLC26A4遺伝子変異等が知られている。これら内耳の構成蛋白やミトコンドリアは蝸牛だけでなく前庭にも多く発現していることも病理組織学的には確認されている。しかし、これら既存の難聴遺伝子と前庭機能の解析の報告はされていない。我々は難聴遺伝子の一部は平衡機能にも関与していることを報告してきた。以上により、前庭にも存在する各構成蛋白の機能を明らかにようとする試みである。 先天性難聴者では平衡機能障害の合併が生じることは知られているがその発症機序の詳細は不明であり、客観的に平衡機能を測定した報告も殆ど無い。そこで本研究では以下を目標とする。1)先天性聴覚障害者の平衡機能を評価、2)難聴遺伝子の解析によって先天性難聴の原因を検索、3)平衡障害との関連を検討した。つまり、臨床的には平衡機能障害がない場合でも平衡機能障害を客観的に検出し、代表的難聴遺伝子であるGJB2遺伝子変異やミトコンドリア遺伝子1555変異、COCH遺伝子変異、SLC26A4遺伝子変異について検索した。
|