2012 Fiscal Year Research-status Report
内耳発生後期に必要なラセン靭帯分化誘導シグナルの解明
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24791810
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
小林 俊樹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (70570183)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 内耳発生 / ラセン靭帯 |
Research Abstract |
内耳発生後期に必要なラセン靭帯分化誘導シグナルは未だ同定されていない。ラセン靭帯と血管条は生後に成熟して、聴覚に必須な内リンパ電位の源となる蝸牛側壁を構成する。平成24年度は内耳発生後期におけるラセン靭帯と血管条の成熟についての関係を観察した。この実験には、将来の血管条中間細胞メラノサイトとなる神経堤細胞に発現する、転写因子Pax3の遺伝子改変動物Pax3Cre/+マウスを用いた。Pax3Cre/+マウスはPax3遺伝子がノックアウト(KO)されており、血管条中間細胞メラノサイトに発生異常を起こすモデル動物として用いられている。このPax3Cre/+マウスは出生後、ラセン靭帯が萎縮している事を発見していた。Pax3Cre/+マウス同士を交雑して得られるPax3+/+マウス胚(Pax3 発現量100%=Wild type)とPax3Cre/Creマウス胚(Pax3 発現量0%)の内耳発生後期の蝸牛側壁発生状況を比較検討した結果、Wild typeマウス胚と比較して、Pax3Cre/Creマウス胚は蝸牛側壁のラセン靭帯ファイブロサイトの細胞数が減少することがわかった。この研究成果から、ラセン靭帯ファイブロサイトの正常発生には将来の血管条中間細胞メラノサイトとなる神経堤細胞における転写因子Pax3の発現量が関与しており、内耳発生後期に必要なラセン靭帯分化誘導シグナルは血管条から分泌されている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラセン靭帯の分化誘導には血管条から分泌されているシグナルが関与している可能性を示す研究成果が得られた。現在、内リンパ電位を測定できるモデル動物の出生条件を検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
内耳発生後期に必要なラセン靭帯分化誘導シグナルの解明に向けて、発生中の蝸牛側壁における発現シグナルを検出するための条件検討を行っている。研究計画当初、新たにモデル動物を作製する予定であったが、既存のモデル動物Pax3Cre/+マウス同士の交雑Pax3Cre/Creマウス胚が内耳発生後期に発生異常を呈する事を発見した。迅速に研究を推進する目的で、この既存のPax3Cre/+マウスをモデル動物として切り替え、Wild typeマウス胚と組織学的に比較検討した。その結果、Pax3Cre/Creマウス胚は蝸牛側壁のラセン靭帯ファイブロサイトの細胞数が減少することがわかった。しかしながら、Pax3Cre/Creマウス胚は出生致死となるため、生後に計測可能となる内リンパ電位の測定は行えないことが判明した。現在、内リンパ電位を測定可能となるPax3Cre/Creマウス胚が出生できる条件を検討中である。内リンパ直流電位記録システムとデータ収録システムは改良される可能性があるため、昨年度の購入は見合わせた。このため、初年度の直接経費の使用は当初の予定より少額となった。また、研究当初、モデル動物の維持、管理や実験の補助等をしていた常勤研究補助員が昨年度、退職することとなった。このため、研究計画当初は予定していなかった臨時研究補助員を雇用し、直接経費の一部を人件費に使用した。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度未使用分と本年度の直接経費は内リンパ電位計測システムを含む物品費、旅費、人件費、その他動物の飼育費等に使用を予定している。
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