2012 Fiscal Year Research-status Report
骨組織の免疫応答が慢性副鼻腔炎に与える影響について
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24791812
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
大櫛 哲史 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (50317939)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 骨免疫応答 / 慢性副鼻腔炎 |
Research Abstract |
慢性副鼻腔炎はマクロライド療法を中心とした薬物療法と内視鏡下鼻内手術の発展により良好な治療効果が得られるようになってきた一方で、近年治療抵抗性を示す難治性副鼻腔炎も未だ認められる。難治性副鼻腔炎の病態には多くの因子がかかわっていると考えられているが、今までは副鼻腔粘膜を中心とした研究がおこなわれてきた。骨病変の有無が手術治療による改善度の低下や、術後再発と関連が認められており、粘膜下に存在する骨組織が難治性副鼻腔炎の病態に重要な役割を果たすとして注目されている。Fokkensらは慢性副鼻腔炎における骨病変評価法の国際基準(Global osteitis scoring scale)を作成し、臨床的検討および骨組織の病態への関与に対する検討を呼び掛けている。 現在我々は慢性副鼻腔炎における骨病変の合併の程度について検討し、マクロライド療法を中心とした保存的治療および内視鏡下鼻内手術の治療予後と骨病変との関連について検討を行っている。各症例ごとにGlobal osteitis scoring scaleを計測し、各疾患群での違いや予後との関連性について検討を続けている。また、骨肥厚の強い術後性上顎嚢胞を内視鏡下に開放する際粘膜皮弁で骨露出部を覆うことで嚢胞の再閉鎖率が低下することを発見し、骨と粘膜に何らかの相互作用が働いている可能性について様々な学会で発表した。 今後慢性副鼻腔炎症例の内視鏡下鼻内手術中に採取した粘膜および骨組織より骨代謝に関与するホルモンやサイトカインについて検討を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
慢性副鼻腔炎患者を①好酸球性副鼻腔炎、②非好酸球性副鼻腔炎、③歯性上顎洞炎、④コントロール群:眼窩底骨折・下垂体腫瘍患者に分類し、各群でおよそ30例以上の症例が認められている。データは現在解析中である。 Global osteitis scoring scaleを全症例で計測している。
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Strategy for Future Research Activity |
慢性副鼻腔炎患者の内視鏡下鼻内手術中に採取した副鼻腔内の鼻汁・粘膜および粘膜下の骨組織に対し、病理学的な検討を行うとともに組織内のサイトカインについて計測を行う。 病理学的には①骨への炎症細胞浸潤、②破骨細胞による骨の過吸収、③骨芽細胞による骨の過形成、④ハーバース管の拡大、⑤骨膜の炎症、肥厚、⑥線維化などについて検討を行う。また、組織中のRANKL, BMP,OSCARなどについて組織免疫染色を行い定性評価を行う。 組織免疫染色のほかに、IL-1,IL-4,IL-6,IL-11,IL-13,IL-18,INF-γ,TNF-α,M-CSF, RANKL, BMP,OSCARなどについてELISAを用いた定量的評価も行う。 予後評価は約1年後の評価とし、症状アンケート、副鼻腔CT、内視鏡評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
慢性副鼻腔炎患者の内視鏡下鼻内手術中に採取した副鼻腔内の鼻汁・粘膜および粘膜下の骨組織に対し、病理学的な検討を行うとともに組織内のサイトカインについて計測を行う際に免疫染色用の抗体などの試薬やELISA用の各種試薬が必要となる。 また、研究結果を国内外の学会に発表し英文雑誌に投稿する。
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Research Products
(2 results)