2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24791815
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
任 智美 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (00599483)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 舌知覚 / 中耳手術 / 舌痛症 / 鼓策神経障害 / 電気刺激 / 疼痛閾値 / SWテスト / 2点識別閾値 |
Research Abstract |
中耳手術後の鼓策神経障害による味覚低下に関する報告は多い。しかし、同時に訴える舌のしびれについての報告はほとんどない。また味覚測定法についてはほぼ確立されているが舌の知覚閾値測定法は未だ確立されていない。今回の目的はヒトの舌粘膜の知覚閾値測定法を確立すること、また舌痛症や中耳手術後の鼓索神経障害症例に対して、舌知覚閾値変化を調査し、舌痛症の病態または鼓索神経の舌知覚に対する影響の解明に役立てることである。 今回のスタディでは健常人および当科で中耳手術を施行した症例に対して、術後に起きる患側の舌痺れについて調査した。自覚症状に関するアンケート、術前後に舌の鼓索神経領域における電気味覚検査、電気刺激による三叉神経閾値測定、モノフィラメント圧痛覚計、ディスクを用いた物理刺激による閾値を測定し、変化をみた。また同時に3つの検査を同時施行することでそれぞれの検査の特徴を把握し、舌の三叉神経閾値測定方法に対する有用性を評価した。 今回の結果では中耳手術前後で患側の知覚閾値は有意に上昇を認め、術後のしびれは鼓策神経障害に関与する舌の三叉神経閾値上昇が示唆された。またモノフィラメント、ディスクは術前後の変化をみるにはrangeが少なく、電気刺激を用いた舌知覚閾値測定が最も有用であることが判明した。 また舌痛症患者における知覚閾値変化に関しても現在、データを収集中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は当科で中耳手術を施行した126名を対象に術前、術後14日後、後3カ月ごとに上記検査を施行して術後の変化、経過を追跡できた。鼓策神経非接触群では全例に術後の変化は認められなかったが、神経接触群、切断群では舌の三叉神経閾値は有意に上昇しており、術後経過を追跡すると味覚より早期に症状消失、閾値改善することが確認された。鼓策神経は舌神経より些細だが舌知覚にも関与すること、また鼓策神経障害後は舌神経の代償が働くことが示唆された。 これと同時に三つの三叉神経閾値測定法の有用性も評価できた。SWテスト(モノフィラメント圧痛覚計、ディスク法は最小閾値を認知できる例もあり、rangeが少ないため、術前後の変化をみるには困難だと思われたが切断などの重症の鼓策神経障害では有意な閾値上昇がみられた。電気刺激では鼓策神経障害例で著明に閾値は上昇しており、術後の経過を追跡するのにも有用であることが示唆された。 以上の結果を学会で報告、論文化することができた。 同時に舌痛症患15例に対しても同検査を施行しているがまだ健常人と有意な差は認めない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も中耳手術前後の舌知覚閾値の変化は昨年度と同様に行い症例数を増やしていき、疾患ごとや障害程度の相違を明らかにしていく。また術後の1年まで三か月ごとの追跡をし、自覚症状、舌の三叉神経閾値の推移を明らかにする。 舌痛症患者に対しても同様に継続していき、閾値変化を調査する。今回、正常値についての推測はしているが対象者を増やして正常値についても確立していくことは課題である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ディスクリミネータ、フィラメント、電極など劣化しているので追加購入をする予定である。
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