2013 Fiscal Year Research-status Report
新規CD4陽性T細胞サブセットTh9細胞のアレルギー性鼻炎における役割の解明
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24791817
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
佐伯 真弓 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主席研究員 (00462771)
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Keywords | アレルギー / 鼻炎 / 喘息 |
Research Abstract |
昨年度までの結果を基に、T細胞移入マウスを用いて鼻炎症状の検討を行った。具体的にはOVA特異的T細胞レセプターを強制的に発現し、遺伝子再構成活性化遺伝子2を欠損しているDO11.10 Rag2-/-マウスの脾臓から各種T細胞を培養した。培養上清中のサイトカイン濃度をELISA法にて測定したところ、それぞれのサブセットに特異的なT細胞に分化していることが確認されたことから、この細胞をマウスに移入し、OVAを点鼻投与し、鼻粘膜過敏性の亢進の指標として点鼻ヒスタミンに対するくしゃみ反応を指標として、Th9細胞のアレルギー性鼻炎への関与を検討した。Th9細胞移入マウスにおいてくしゃみ亢進が認められたが、他のサブセットにおいても同様に反応がみられた。昨年度にうまくサンプルの調整ができなかったマイクロアレイに関しては、Th9細胞培養方法や細胞内サイトカインの測定方法を再検討した。この検討により、細胞内のIL-9、IL10が安定して測定できるようになったことから、Th9細胞のソーティング、RNAの回収を行い、マイクロアレイ解析の準備を行った。しかしながら、本年度半ばにマイクロアレイに関する実験が他研究者から論文として報告されたことから、計画を変更することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、Th9細胞移入マウスを用いて、アレルギー性鼻炎の病態の評価を行うと共に、Th9細胞のマイクロアレイによる発現遺伝子の網羅的な解析を実施する予定であった。 マイクロアレイによる網羅的な解析に関しては、本年度の半ばに他研究者から論文として報告されたことから、計画を変更し、現在は病態解析を中心に実験を行っている。 アレルギー性鼻炎モデルマウスはおおむね順調に進行しているが、Th9細胞に特徴的な反応をつかむには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
アレルギー性鼻炎モデルマウスを用いた病態の評価法は計画通り順調に確立され、Th9細胞がアレルギー性鼻炎に関与することが示されたものの、Th9細胞に特徴的な反応を見出すことができていない。そこで、現在その原因の解明を進めている。具体的には関与の可能性のあるサイトカインに関して中和抗体を用いた実験を行っており、その研究を進めていく。さらに、現在、Th9細胞に関連するサイトカインのノックアウトマウスを入手したことから、そのマウスの交配をすすめている。実験に供することのできる数になり次第、このノックアウトマウスを用いた検討も進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度にマイクロアレイによる発現遺伝子の網羅的な解析を実施する予定であったが、他研究者に先行され、計画の変更が必要となったことから、その予算の一部を繰り越した。 現在、Th9細胞によるアレルギー性鼻炎発症のメカニズム解明のために、サイトカインの中和抗体、ノックアウトマウスの実験に必要な試薬等の購入を中心として、予算を使用する予定である。
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