2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24791836
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 達也 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80348721)
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Keywords | iPS細胞 / 網膜 |
Research Abstract |
ヒト結膜細胞を採取し従来の方法どおりレンチウィルスによりOCT3/4, SOX2, c-MYC, KLF4を遺伝子導入し、ヒト結膜細胞由来iPS細胞を作成した。teratoma formation assayにて多分化能も確認し、核型解析にて染色体異常のないことも確認された。細胞の増殖能も問題なく、培養下で網膜細胞に分化誘導する本研究に十分使用できるものと考えられた。 皮膚線維芽細胞由来のiPS細胞と今回作成した結膜細胞由来のiPS細胞の性状の比較を行うため、過去の報告通りの手法でin vitroにて網膜細胞へ分化誘導した。結膜由来iPS細胞の方が網膜の細胞により近い要素をもつか否かを検討するため、両者間に分化誘導の効率を比較したが、有意な差を認めなかった。また、培養下で分化誘導した網膜細胞が均一な細胞集団ではなかったこともあり、遺伝子発現の差もあきらかなものは見いだせなかった。皮膚線維芽細胞由来iPS細胞と結膜細胞由来iPS細胞はともに未分化なステータスを維持するためのある程度の遺伝子発現の構成は変わらないはずだが、より網膜前駆細胞に発現するとされるPAX6、RXなどの遺伝子発現に違いがあれば、それらの遺伝子のDNAのmethylationの状態などに差がみられるのではないかと予想していた。そのような違いが網膜への分化過程で重要な役割を担う可能性もある。今後、両者にそういった差が見出す事ができれば、さらに本研究を進めることができると考えられる。
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