2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24791839
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横尾 誠一 東京大学, 医学部附属病院, 研究員 (20345052)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 幹細胞 / 角膜 / 角膜上皮 / ドライアイ / ムチン / 再生医療 / 無血清 |
Research Abstract |
近年、ドライアイに対しては新規の点眼薬が投入されるなど治療の選択肢が広がっているが、ドライアイに対する有効な評価系モデルは少ない。我々はこれまでに角膜上皮幹細胞の単離法のほか、無血清培養法を報告した。今回これらの手法を発展させ、上皮が分泌する膜型ムチンをターゲットとした評価系モデルの構築を試みた。米国アイバンクのドナー角膜輪部組織より角膜輪部上皮細胞を採取し、セルデスク24well(住友ベークライト社製、未処理品:特注)に1×103cells / well の密度で播種し、翌日洗浄することで高付着能の幹細胞を得た。これらの幹細胞を B27およびepidermal growth factor添加DMEM/F12で一週間培養したものをコントロールとし、各種マップキナーゼ阻害剤を添加した培地で培養した細胞コロニーとの間でPAS染色によるムチン発現について検討した。培養された幹細胞コロニーはPAS染色陽性でありムチンを発現した。各種阻害剤のうちERK1、2を阻害するFR1800204の添加により、コントロールと比較してPAS陽性部分が有意に減少し、ムチン産出が抑制された。角膜上皮幹細胞はコロニー形成時においてムチンを産生する。ムチンの産生はMAPKのERK1、2を阻害するFR1800204を培地に添加することで、角膜上皮幹細胞を用いたムチン発現を抑制するドライアイ評価系モデルを構築できたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
角膜上皮幹細胞でのムチン発現を研究し、各種膜型ムチンの同定とムチン非発現系を探索しドライアイ研究における有用な評価系モデルを開発することを目的に研究を行っているが、ムチン非発現系の構築に成功し、研究目的の達成は概ね順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
角膜上皮に発現しているムチンの同定の他、各種ドライアイ治療薬の添加による効果の判定や、薬理機構の解明を目指すため、遺伝子の網羅的解析などを通じて、角膜上皮幹細胞を用いた評価系の確立を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各種遺伝子発現の解析の他、膜型ムチン各種の免疫染色等を行う。またサンプル保存のためのフリーザーが必要となるため、-80℃のディープフリーザーを購入する予定である。
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