2012 Fiscal Year Research-status Report
加齢黄斑変性症における自己抗体バイオマーカーの探索と発症増悪機序の解明
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24791842
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
諸星 計 東京医科歯科大学, 医学部, 非常勤講師 (60598415)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 加齢黄斑変性 / 自己抗体 / バイオマーカー / 自己免疫 / 抗網膜抗体 |
Research Abstract |
加齢黄斑変性は脈絡膜新生血管(CNV)からの浸出液や出血により、黄斑部網膜が障害を受け不可逆的な視力低下をきたす疾患である。そこでlaser induced CNVマウスモデルを用いて抗網膜抗体のCNV病変部への関与を検討し、老齢マウスを用いることにより加齢による抗網膜抗体の沈着の変化を検討した。 Laser照射8週後のマウス血清をantigen microarray法においてスクリーニングしたところ、complement C3、PKM2、Aldolase, L-glutamine synthetase、annexin IIなどの多くの網膜内分子に対する有意な抗体価の上昇が確認され、それらの自己抗体プロファイルはAMD患者のものと類似していた。またマウスCNV周囲組織へはIgG抗体の沈着増強が認められ、一部はPKM2やALDOCの発現との共局在化が確認された。同様に、老齢マウス(18週齢)では若齢マウス(8週齢)に比べ、RPE組織への有意なIgG抗体の沈着増強が認められた。 以上より、anti-PKM2やanti-ALDOC抗体はCNV発生に深く関与していると考えられ、ヒトAMD患者血清中でも高値を示していたことより、バイオマーカーとして応用できる可能性が示唆された。 次にヒトAMD患者血清・laser induced CNVマウスともに抗体価の高値が認められたL-glutamine synthetaseに着目し、その酵素活性に対する自己抗体の関与を検討したところ、いずれもその活性を減弱させる中和作用を有していることが確認された。この作用は神経毒性を示すglutamateの相対的増加を促すと考えられ、網膜・色素上皮の変性に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成24年4月より非常勤講師として大学外勤務となったため、大学内での研究業務が困難となり、当初の達成予定より大幅に遅れる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もこれまで同様学外勤務が続くため、大学院生・実験助手を動員し人員不足を解消する。また、関連病院であり研究代表者の主たる勤務先である多摩北部医療センターの白内障手術患者を、コントロール群として加えることで血清サンプルの収集の遅れを取り戻す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
網膜・色素上皮・脈絡膜蛋白とAMD患者血清由来IgG抗体を用いた2次元電気泳動後にLC-MS/MSを行い、眼組織由来抗原に対するAMD患者血清中新規自己抗体の同定を行う(約40万円)。次にそこで同定された抗原を用いてAMD疾患特異的なantigen microarrayチップを作成し、実際の患者血清をもちいてAMDスクリーニングの効果を検討する(約120万円)。 また動物実験として、上記で同定された抗原をマウスに免疫することにより、眼組織抗原に対する自己抗体を産生させ、AMDに類似した病態の誘導が可能であるか検討する(約80万円)。
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