2013 Fiscal Year Annual Research Report
SS-OCTおよび黄斑局所網膜電図を用いた網膜静脈閉塞症の治療反応性、予後の予測
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24791848
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荻野 顕 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70622629)
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Keywords | 網膜静脈閉塞症 |
Research Abstract |
42例の発症後早期の網膜静脈分枝閉塞症患者を、OCTを用いて観察すると35眼に漿液性網膜剥離を認め、うち18眼に網膜下出血を伴うことが確認された。この網膜下出血の存在は、発症時の視力には影響を与えないが、最終視力と相関することが示された。網膜下出血が存在した眼においては、中心窩の視細胞へのダメージが大きいことがOCTから判明している。 従来のOCTでは網膜静脈閉塞症の多量の網膜出血のために、レーザー光が網膜深部方向へ到達しなかったが、最新のOCTと撮影方法を工夫することで、中心窩の網膜剥離の存在、視細胞の状態を検出することができ、視機能の予後を予測することができた。 また、網膜静脈閉塞症と同じ網膜疾患の加齢黄斑変性23眼において、抗VEGF薬で1年間科料を行った。視力は不変であったが、術後3ヶ月では網膜形態は改善し、同時に黄斑部局所網膜電図で測定した黄斑機能は改善を認めた。またその効果は1年を通じて、維持されていた。VEGFには神経保護効果があることが報告されており、VEGFを長期にわたってブロックすることは、神経網膜への悪影響を与える可能性が懸念されているが、今回の網膜電図の結果からは1年間の抗VEGF療法による悪影響は明らかでなかった。通常臨床で用いられる視力検査では、黄斑部に広く病変が広がる加齢黄斑変性や網膜静脈閉塞症では治療効果を十分に評価できないことがあり、その場合に黄斑部局所網膜電図は有効であることが示された。 平成25年9月には網膜静脈閉塞症に対する抗VEGF薬の使用が保険適応となり、我々の研究結果はこの治療が長期に安全に使用できることの一情報となりえると考えられる。
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