2014 Fiscal Year Research-status Report
網膜刺激型及び視神経刺激型人工視覚が視覚中枢及び反対眼に及ぼす影響についての検討
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24791853
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西田 健太郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座助教 (70624229)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 眼生理学 / 人工視覚 / 賦活化 / 電気刺激 / 脳神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、難治性眼疾患である網膜色素変性に対する網膜刺激型(STS)及び視神経刺激型(AV-DONE)人工視覚による治療が、視覚中枢及び反対眼に及ぼす神経賦活化作用を確認し、これを用いた新しい治療法の可能性を検討するものである。平成25年度の時点で実験計画がやや遅れていたため、より電気刺激による通電の影響が出やすいと考えられるAV-DONEの刺激方式に絞ることで、遅れを取り戻すことを試み、計画通り、平成25年度に行っていた慢性通電を引き続き行い、その後、慢性通電後のラットの組織学的検索を行った。 RCSラットに、AV-DONEの刺激電極を視神経に埋植し、頭部のコネクターに接続した。適時、埋植直後から6ヶ月後まで、AV-DONEの刺激電極からの電気刺激による脳での誘発電位(EEP)、光による脳での誘発電位(VEP)、光による網膜での誘発電位(ERG)の測定も同様に行うことができた。これと並行して、1週間ごとに2時間の連続通電を行った。通電の条件は、臨床試験で用いているBiphasic pulseのcathodic first、duration250μs、インターパルス0μs、電流値50μA、周波数160Hzを用いた。 6か月の慢性通電後のRCSラットを4%パラフォルムアルデヒドで灌流固定し、後固定を行った後、30%シュクロース液で脱水し、包埋後、上丘を含む凍結切片を作成した。その後、型どおりにGFAP、FGF、BDNFの免疫染色を行ったが、現在のところ通電後とShamの間で、明らかな差は認められていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度は、引き続きAV-DONEの刺激電極による6か月間の慢性通電を行うことができ、視機能を電気生理学的に評価することも可能であった。しかし、慢性通電後とShamの間で、電気生理学的にも、組織学的にも現在のところ、明らかな差は認められなかった。また、慢性通電後のRCSラットの脳切片を作成し、通電による神経賦活化に関連していると考えられているFGFやBDNF、その他にGFAPなどの免疫染色を行っているが、現在のところ、慢性通電後とShamの間で、明らかな差は認められていない。
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Strategy for Future Research Activity |
慢性通電後とShamのRCSラットの脳切片の組織学的検討を継続して行い、両者間での差異の有無を明らかにしていく。そして、通電による神経賦活化の有無を明らかにし、神経賦活化に作用しているタンパクを同定する。 さらに神経賦活化で作用しているタンパクが同定できれば、通電条件は一定として、通電時間を1~3時間と変化させ、最もタンパクが分泌される通電条件の検討を行う。
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Causes of Carryover |
平成26年度の期間内に、動物実験施設の大幅な改変があり、当該動物実験を行っていた実験室が閉鎖されることとなった。実験室の移動に伴い、実験設備すべてのホルマリン燻蒸、移動先の実験室の研究者との折衝、および実験設備のセッティングなどに時間を要し、その結果、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後も、神経賦活化の有無を評価するために免疫染色を実施し、確定するための追試を行う。また、賦活化が得られた同定できた場合、これに関連するタンパクの分泌が最も効率的な刺激条件を検討する。また、本研究の実験結果を、英文雑誌や学会にて積極的に発表して発信していく。
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Research Products
(4 results)