2012 Fiscal Year Research-status Report
角膜接着能評価による再発性角膜上皮びらん治療薬の検索
Project/Area Number |
24791857
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山田 直之 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70437630)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 角膜 |
Research Abstract |
本研究では,①角膜上皮の接着性を定量化するシステム(角膜上皮接着能定量システム,Epithelium Adhesion Analysis System:EAAS)を構築し,②糖尿病動物モデルにおける角膜上皮接着性の定量化および③その接着性を薬剤により制御できるかどうか,また④接着性に関与するタンパク質の発現解析を行うこととした。今年度は,①を中心に行った。 まず,市販されている接着剤のうち,比較検討の結果,最大接着力を有する接着剤Aを決定した。次いで,Whister ratを用いて角膜上皮細胞の接着性を評価した。全身麻酔下で局所麻酔薬を点眼し,角膜上皮の剥離面積が一定となるように直径3mmの皮膚生検トレパンで角膜上皮に切開を作成,接着剤Aを塗布し絹糸を介して角膜上皮を牽引した。牽引した絹糸が離脱したときの重量すなわち直径3mmの角膜上皮を角膜上皮基底膜から剥離するのに必要な重量N(g)を測定した。角膜上皮が剥離されているかどうかを確認するために,測定後フルオレセイン染色で角膜上皮欠損を確認した。正常Whister rat 6匹の左眼に対し測定評価を行ったところ,角膜から絹糸が離脱した力は,N= 55.83±18.16 (g)であった。角膜上皮剥離した角膜上皮細胞が直径3mmの円すなわち7.065mm2であることから,Whister rat角膜上皮細胞が角膜上皮基底膜に接着する単位面積あたりの力N/7.065は,約7.90 g/mm2であると換算できた。また。Whister rat 角膜上皮基底細胞の面積は 92.2x10-6mm2であることから,角膜上皮基底細胞一つが角膜上皮基底膜に接着している力N*AA/7.065は,約0.732 g/cellと換算できた。単一細胞が基底膜に接着する力を測定評価できたことはこれまでなかったと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度の研究により,予定した角膜上皮層を角膜上皮基底膜から剥離させる実験系について確立した。上述の①~④のうち,①まで達成できたにとどまっているが,検出系の確立がなされていない,または安定した結果が出なければ以降の検討が出来ないため,①の確立に時間を費やした。25年度は今回確立した手法を用いて,糖尿病動物モデルにおける接着能の測定及びその制御について検討していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は,糖尿病動物モデルを作成し,糖尿病に罹患することによりどの程度角膜上皮細胞が接着する能力が低下することを定量化していく。接着能低下の程度を評価した後,インスリン治療により低下した接着能がどの程度回復するか,また糖尿病が原因で創傷治癒遅延を来した角膜上皮欠損に対して有効であるサブスタンスPとインスリン様成長因子-1の合剤及びそれらの有効最小配列であるFGLM-NH2+SSSRの局所投与が角膜上皮接着能をどの程度回復させるかどうかを測定する。また,食事療法で接着能がどの程度変化するかを測定する。 糖尿病に罹患させて12週程度経過してから検討を行うため,準備期間が必要となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用状況はおおむね予定通りである。25年度は糖尿病動物の飼育期間が生じるため,動物飼育費が生じ,また抗体などの試薬購入費が必要となる。当初の予定額内で達成できるものと考えている。
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Research Products
(5 results)