2015 Fiscal Year Annual Research Report
TRPチャンネル制御における難治性神経麻痺性角膜上皮障害の新規治療法の開発
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24791869
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
住岡 孝吉 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (40433362)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | TRPV1 / 角膜創傷治癒 |
Outline of Annual Research Achievements |
角膜は視機能維持に必須の透明な組織であるが、高度な炎症や長期に持続する慢性的な炎症では角膜の血管新生や瘢痕混濁をきたし治癒する。角膜の瘢痕とそれによる形状の変化は、視力障害の大きな原因となるため、血管新生抑制、線維瘢痕化抑制が重要となる。TRPV1は感覚神経終末や角膜上皮、実質細胞などに発現しているイオンチャンネル群の一つであるが、TRPV1シグナルがサブスタンスPや他の神経終末からの液性因子の発現に重要な役割を担っている。これまで当教室ではTRPV1ノックアウトマウスでは角膜上皮の創傷治癒が遅延すること(Sumioka T, et al. IOVS 2014)や、角膜のアルカリ外傷後の炎症性瘢痕化が抑制されること(Okada Y, et al. Am J Pathol 2011)を報告してきた。今回、角膜全層切開時におけるTRPV1の役割を調べるべく、TRPV1ノックアウト(KO)マウスと野生型(C57BL/6)マウスを用い角膜全層切開モデルで比較した。KOマウスでは創傷5日後では実質創の癒合率が抑制され、筋線維芽細胞の出現も抑制されていたが、10日後では癒合率に差はみられなかった。real time RT-PCRでも創傷5日後でα平滑筋アクチンとコラーゲン1a1の発現量の抑制がKOで確認された。また野生型マウスでは線維芽細胞は角膜実質浅層に多く分布しているのに対して、KOマウスでは角膜深層部に多く分布していることが明らかになった。これはKOマウスでは角膜実質の治癒遅延による上皮の実質内陥入が実質深層部まで起こったことにより、線維芽細胞が角膜深層部に多く形成されたと思われる。角膜創傷治癒にはTRPV1は必要であるが上手に制御することで透明治癒を保てる可能性があることが示唆された。
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