2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24791871
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
浅川 賢 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (60582749)
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Keywords | 有色家兎 / 対光反応 / 網膜電図 / 網膜組織所見 / 視細胞 / 光‐電位変換 |
Research Abstract |
最終年度は,昨年度に明らかとなった測定条件の下,家兎に対して視細胞障害モデルを作製し,色光刺激の違いによる対光反応を 評価した。本検討は,「赤色・青色光刺激による家兎対光反射とメラノプシンの関与」(研究代表者:石川均)と同様の方法である。 生後7週齢以降のDutch種,雄性の有色家兎を使用した。麻酔下で動物の苦痛が最小限となるように常に倫理的問題に配慮し,実験を行った。環境条件を統一させるため,毎週水曜日の午前10時から12時の間に,60分間の暗順応後,赤外線瞳孔計を用い,250 cd/m2にて660 nmと470 nmによる各60秒刺激の瞳孔反応を測定した。また,網膜電図(LE-3000,トーメー)を同時刻に記録した。その後,L-2-amino-4-phosphono butyrate(以下,L-AP4)を硝子体内に注入し,特定の神経伝達を阻害させ,同様に記録を行った。さらに,光学・電子顕微鏡にて網膜光受容器を組織学的に観察した。本検討は,動物実験委員会の承認を得た(2013-040)。 青色光では7週齢にて既に縮瞳が認められたが,赤色光は12週齢から出現した。L-AP4作用前では,家兎でも青刺激による顕著かつ 持続的な縮瞳が見られた。作用1週後に測定すると,赤色光の反応は完全に消失したが,青色光に対する縮瞳はわずかに認められた。また,網膜電図の振幅は消失しており,電子顕微鏡にて網膜神経節細胞は存在するも,杆体・錐体層や外顆粒層など,網膜外層の細胞消失が認められた。 青刺激時の対光反応は,メラノプシン含有網膜神経節細胞以外にS錐体や杆体の関与も否定できない。そこで本年度は,それらを 薬理学的に破砕して再評価すると,網膜外層が障害されたにもかかわらず,青刺激時のみに縮瞳が認められた。この結果は,視細胞とメラノプシン含有網膜神経節細胞に由来する対光反応の特徴の違いを裏付けるものであり,視細胞とは異なる光‐電位変換のメカニズムを有していると考えられる。
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