2013 Fiscal Year Research-status Report
新しい調節性眼内レンズ開発を目的としたヒト水晶体3次元的力学シミュレーション解析
Project/Area Number |
24791872
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
川守田 拓志 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (80511899)
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Keywords | 調節性眼内レンズ / 水晶体 / 調節 / 光学特性 / 力学特性 / 老視 / 嚢 / チン小帯 |
Research Abstract |
本研究の目的は、力学、光学、医学の観点からアプローチを行い、老視矯正用調節性眼内レンズ開発に向けたヒト水晶体の調節メカニズムを解明することである。 具体的には、1. 力学解析から水晶体の前後面曲率変化に影響を与える因子の解明、2. 光学解析から水晶体前後面曲率変化や水晶体核が眼球光学特性に与える影響の調査、3. 老視矯正用人工眼内レンズへの適用検討を行った。 結果、水晶体の核が存在する状態と無い皮質で均一な状態、嚢膜厚分布、チン小帯の付着位置による調節への寄与を確認できた。光学解析から水晶体前後面曲率変化や水晶体核が眼球光学特性に与える影響を確認した。また、調節性眼内レンズ設計において、単層モデルと複層モデルを検討し、後者は、さらに多数のパラメータを検討し、調節への寄与を確認した。また調節性眼内レンズ設計を考える上では、光学的には、複層モデルのメリットは、大きいが、力学的には、単層と複層の違い以上にレンズの弾性係数が最も大きく影響していることがわかった。 以上より、ヤング・ヘルムホルツの理論でいわれる水晶体前後面曲率・厚とチン小帯、毛様体の変化だけでなく、核や嚢膜厚、虹彩圧等その他より詳細な眼球パラメータが調節変化に寄与していることが明らかとなった。さらに、臨床的な意義としては、新しい調節性眼内レンズ考案にあたり、重要な基礎データを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
光学および力学のシミュレーションの設定条件を決めるにあたり、情報収集に多くの時間を要したため力学シミュレーションの受託解析依頼に若干の遅れを生じた。しかし、目的のシミュレーションは、終了し、現在まとめの作業を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、シミュレーション解析は、行うことができたため、多角的に分析し、まとめを行っている。若干遅れてはいるが数か月で終えることができると思われる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度内にすべての研究を行う予定であったが、プログラムの修正と検証、レンズモデル構造の設計、既報の文献調査に時間を要したため、受託解析を平成25年度内に依頼することが間に合わず次年度使用額が生じた。 上記の理由により、調節性眼内レンズの2層構造力学・光学解析および屈折率分布型水晶体構造力学・光学解析の受託解析を平成26年度に行うこととし、次年度使用額は、その関連経費(受託解析およびソフト代、有償技術ミーティング等)に充てることとしたい。
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Research Products
(22 results)