2013 Fiscal Year Research-status Report
リンパ管腫に対する各種薬剤の治療効果の検討と作用機序の解析
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24791895
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
高橋 正貴 独立行政法人国立成育医療研究センター, 外科, 医員 (10626766)
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Keywords | リンパ管腫 / リンパ管腫由来内皮細胞 / OK-432 |
Research Abstract |
我々は現在までにリンパ管腫由来内皮細胞株(HL-LEC)及び不死化細胞株を樹立している(投稿中)。昨年度は不死化細胞株に対してin vitroで各種薬剤を加えて、それぞれの薬剤の直接効果を生物学的に比較検討してきた。結果,OK-432とbleomycinとpropranololはin vitroで不死化細胞株に直接作用してcontrolと比べて生細胞数を減少させることが分かった。特にOK-432やbleomycinは臨床で有用とされているが、詳細な機序はわかっていないのが現状である。 我々は、OK-432の作用機序を検討した。その結果、形態学的に濃度依存性に変化する事、免疫染色でOK-432が細胞質内に取り込まれる事、取り込まれてHL-LECが死滅した後もOK-432は残存する事がわかった。apoptosisかどうかを検証したが明らかにapoptosisを示唆する所見は認めていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトリンパ管種由来リンパ管内皮細胞の不死化細胞株に対して現在までに有効性が報告されている薬剤のin vitroにおける有効な薬剤の直接効果は確認できた。特に最も文献が多く、有用とされているOK-432についてより 詳細に検討を行っている。一方で不死化細胞株でない、ヒトリンパ管種由来リンパ管内皮細胞(HL-LEC)に対して薬剤のin vitroにおける有効な薬剤の直接効果およびin vitroの蛋白レベルでの変化を解析する必要がある。しかし、HL-LECの増力能が低いことと、新たな細胞株の樹立が少し難しいこともあり、研究が予定通りに進捗していない原因となっている。 その次のステップとしては動物モデルを作成し、動物モデルを用いてin vivoでの作用を検討する。大きさや形状変化を経時的に観察し、harvest した組織の遺伝子発現を genetip にて解析すると同時に、蛋白レベルでの変化を免疫組織学的に判定する。動物モデルは藤野らの研究で作成中であるために成果を待っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
我々は現在までに OK-432 が endocytosis によりリンパ管内皮細胞の細胞質に取り込まれることを確認しており、PI3K/AKT 系の下流のシグナル伝達に作用し、apoptosisを誘導するのではないかと予想している。OK-432 はいかに細胞内に取り込まれるのかを免疫染色を用いて、また endocytosis 後の細胞死への経路をシグナル伝達系を中心に検証する。一方で不死化細胞株でない、ヒトリンパ管種由来リンパ管内皮細胞(HL-LEC)に対して薬剤のin vitroにおける有効な薬剤の直接効果およびi蛋白レベルでの変化を解析する必要がある。その次のステップとしては動物モデルを作成し、動物モデルを用いてin vivoでの作用を検討する。大きさや形状変化を経時的に観察し、harvest した組織の遺伝子発現を genetip にて解析す ると同時に、蛋白レベルでの変化を免疫組織学的に判定する。 動物モデルは現在藤野が作成中である。蛍光蛋白で標識されたリンパ管腫動物モデルを作成し、In vivo で の薬剤の動態と治療効果を組織を用いて検証する。これにより、有効な投与方法や有効濃度など が明らかになる。投与方法としては腫瘍への直接投与や経静脈投与などを濃度を変えて投与する。大きさや形状変化を経時的に観察し、harvest した組織の遺伝子発現を genetip にて解析す ると同時に、蛋白レベルでの変化を免疫組織学的に判定する。我々は、同時にリンパ管腫症由来リンパ管内皮細胞株およびリンパ管腫症モデル動物を樹立す べく研究中であるが、世界的に症例数も少ない上に検体を摘出することも稀である。そこで我々 が作成中のリンパ管腫モデル動物にサイトカインを投与した際のリンパ管腫の動向と、これにス テロイドやインターフェロンを加えた場合の動向も上記手法で同様に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究に必要となるサーマルサイクラー、フローサイトメーター、DNA シーケンサー、マイクロプレートリーダー等の大型機器はすでに研究室内に揃っている。その他、実体顕微鏡、共焦点 レーザー顕微鏡を備えており、高度なイメージングが可能となっている。本研究で期待される成果を得る為には、常に標的細胞である細胞の安定した採取・調整が重要 となる。生体材料から目的の細胞を得るためには、コンタミの防止に最大限の注意を払う必要が ある。 また、旅費については研究打ち合わせのための都内移動費と本研究遂行期間内に国内外で発表でき るような成果を上げるため、学会参加のための旅費を申請する。 無菌試験をパスした製品(培地、血清、抗生剤等)の購入、滅菌操作を徹底するためのデ ィスポーサブル製品(ディッシュ、ピペット、遠心チューブ、グローブ、マスク等)の購入、発現遺伝子解析のための試薬、免疫染色用抗体、卵・精子採取を行うための実験動物の購入、研究 作業に従事する研究補助者への謝金が経費の主な内訳となることは、極めて妥当であると考える。 旅費については研究打ち合わせのための都内移動費と本研究遂行期間内に国内外で発表でき るような成果を上げるため、学会参加のための旅費を申請する。
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