2012 Fiscal Year Research-status Report
脂肪組織由来間葉系幹細胞と多能性前駆脂肪細胞の骨分化能の比較
Project/Area Number |
24791896
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
有川 理紗 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (60623600)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 脂肪幹細胞 |
Research Abstract |
骨芽細胞と脂肪細胞は間葉系幹細胞からの分化の最終段階で分かれることから系統上近接しており、脂肪細胞の骨分化誘導による骨欠損治療が行える可能性がある。我々は同一のヒト脂肪組織から採取した脂肪組織由来間葉系幹細胞と天井培養由来前駆脂肪細胞が長期の継代後も脂肪細胞分化能の差異を保持していることを明らかにした。しかし、脂肪組織由来間葉系幹細胞と天井培養由来前駆脂肪細胞のどちらが分化系上、より骨芽細胞に近いかは明らかでない。本研究の目的は、脂肪組織由来間葉系幹細胞と天井培養由来前駆脂肪細胞の骨分化能の違いを明らかにすることである。 マウス鼠径部から採取した皮下組織から分離した脂肪組織由来間葉系幹細胞と天井培養由来前駆脂肪細胞を骨誘導条件下で培養したところ、脂肪組織由来間葉系幹細胞の方がより強い骨分化傾向を示した。しかし、高い脂肪分化能を持つ天井培養由来前駆脂肪細胞も一定の骨分化能を持つことが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスから採取できる細胞数が限られるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
天井培養由来前駆脂肪細胞に一定の骨分化能があることがin vitroの実験で明らかになった。骨分化を促進する条件が脂肪組織由来幹細胞とは異なる可能性があるため、良好な骨分化を誘導できる条件を明らかにしたい。また、ヒトでの骨欠損に対する脂肪移植治療への応用を考えて、移植動物モデルを用いた天井培養由来前駆脂肪細胞の骨形性能の検討を行う。マウスから採取した脂肪組織由来幹細胞、天井培養由来前駆脂肪細胞は増殖能がヒトの細胞より低いことなどから収量が限られたことが制限因子となり未使用額が発生した。今後、採取量を増やすことやより増殖能の高い培地を検討することで対処する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.骨欠損モデルマウスにおける脂肪組織由来間葉系幹細胞と天井培養由来前駆脂肪細胞の細胞移植法による骨分化機能解析に用いる。In vitroで高純度β-TCPなどのscaffoldを使用した際の、脂肪組織由来間葉系幹細胞・天井培養由来前駆脂肪細胞の骨伝導能の違いを、骨発現マーカーによる免疫組織化学的染色を行い、比較検証する。In vitroで脂肪組織由来間葉系幹細胞と天井培養由来前駆脂肪細胞の骨誘導促進因子由来のシグナル活性化機構を解析する。骨分化に及ぼすシグナル活性化とそのインヒビターおよびRNAiを用いたシグナル抑制および骨分化マーカーに及ぼす作用を検討する。骨欠損モデルマウスにおいて、脂肪組織由来間葉系幹細胞・天井培養由来前駆脂肪細胞の細胞移植時の骨誘導促進因子の負荷時の骨分化マーカー発現解析を行う。骨欠損モデルマウスにおいて、脂肪組織由来間葉系幹細胞・天井培養由来前駆脂肪細胞の細胞移植時の骨形性能を骨密度定量、骨強度測定、組織学的均一性で解析する。 2.ヒト脂肪脂肪組織由来間葉系幹細胞・天井培養由来前駆脂肪細胞における骨分化能解析に用いる。これまでに我々はヒト由来脂肪細胞の採取・調整ならびに分化・培養の手法を確立している(Am J Physiol Cell Physiol, 2011)。すでに申請者は本研究を実施するためにヒト由来培養脂肪細胞を調整し解析することについて千葉大学倫理委員会の承認を得た。ヒト術中摘出余剰脂肪組織を用いて、脂肪組織由来間葉系幹細胞・単一脂肪細胞調整を行い、本調整ヒト細胞における骨分化条件下での骨分化マーカー発現プロファイル、誘導因子による発現調節解析を行う。 次年度研究費は上記実験系に用いられる試薬・器具・実験動物に使用する予定である。
|