2012 Fiscal Year Research-status Report
原発性および二次性リンパ浮腫の病態解明と治療法開発
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24791898
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原 尚子 東京大学, 医学部附属病院, その他 (50624243)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 原発性リンパ浮腫 / 二次性リンパ浮腫 |
Research Abstract |
われわれは原発性リンパ浮腫、二次性リンパ浮腫に対し、リンパ管静脈吻合術(LVA)を行っているが、吻合に必要なくトリミングを行った集合リンパ管を採取し、組織学的検査を行った。内皮細胞、基底膜、平滑筋層、膠原線維や弾性線維それぞれの変化について、検討を行った。また、特発性乳糜胸腹水を合併した原発性リンパ浮腫患者においても集合リンパ管の組織学的解析を行った。これまでに報告のない新たな所見をいくつか得ることができ、学会発表、論文発表に至った。今後、遺伝子解析、造影剤を用いない画像検査の開発を行う予定である。 【論文発表実績】 1. Hara H, Mihara M, Narushima M, at al. Idiopathic portal hypertension and lower limb lymphedema. Lymphology. 2012 Jun;45(2):63-70. 2. Hara H, Mihara M, Okuda I, et al. Presence of thoracic duct abnormalities in patients with primary lymphoedema of the extremities. J Plast Reconstr Aesthet Surg. 2012 Nov;65(11):e305-10. 3. Hisako Hara, Makoto Mihara, Yukio Seki, et al. Lymphedema with an idiopathic lymphatic thrombus. J Plast Reconstr Aesthet Surg. (in press) 他2本投稿中
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原発性リンパ浮腫、二次性リンパ浮腫に患者における組織学的検査を行った。内皮細胞、基底膜、平滑筋層、膠原線維や弾性線維それぞれの変化について、検討を行った。また、特発性乳糜胸腹水を合併した原発性リンパ浮腫患者においても集合リンパ管の組織学的解析を行った。これまでに報告のない新たな所見をいくつか得ることができ、学会発表、論文発表に至った。また、国内、海外の研究者たちと意見交換を行うことで、今後の研究の方向性を検討する上で有意義であった。 原発性リンパ浮腫の中には原因遺伝子が特定されているものがあるため、原発性リンパ浮腫確定診断のためにVEGFR-3、FOXC2、SOX18の遺伝子検査を行う予定であったが、これに関しては24年度には完遂できておらず、25年度に持ち越している。また、現在四肢末梢のリンパ管を描出するためには造影剤を用いた検査法しかなく、造影剤を用いない四肢末梢のリンパ管描出法の開発を行う予定であったが、これに関しても25年度に持ち越している。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度から持ち越している、遺伝子解析、造影剤を用いない画像検査法の開発について、推進する方針である。また、集合リンパ管の組織学的解析も継続して行う予定である。 当初の計画通り、胸管再建モデル、腹腔内および後腹膜リンパ管再建モデルを実験動物を用いて作成する。さらに、画像検査により全身のリンパ管の機能を判定することができれば、正常な部位から異常な部位への血管付きリンパ節移植、リンパ管移植を行うことができ、患者ごとに異なったオーダーメイド手術を行うことが可能と考えられる。ドナーとしては趾間部リンパ管、鼠径リンパ節、側胸部リンパ節などが可能であるが、そのほかにも膝窩リンパ節、顎下リンパ節など低侵襲で術後瘢痕の目立たない部位からの移植が考えられ、それぞれについての動物実験モデルを作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の用途としては、動物実験諸経費、論文作成経費、学会発表の際の旅費、集合リンパ管の組織学的解析などに使用予定である。
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