2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24791904
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高須 啓之 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40566022)
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Keywords | 小口径人工血管 / 脱細胞化 |
Research Abstract |
近年の手術技術の進歩に加え、心血管疾患・糖尿病の増加により世界的に人工血管の需要は高まっている。特にヨーロッパでは死因の4割を血管疾患が占め、また、世界中で年間に20万肢が血管障害に伴い切断されている。心筋梗塞や小児先天奇形などの冠動脈疾患や透析のシャント作成、下肢のバイパス術時に用いられる、さらにはわれわれ形成外科医が行う遊離組織移植に用いられる血管グラフトに求められる口径は3mmから4mmの物が多い。これに対し、人工血管の開発に多くの研究チームがしのぎを削っているが現在までで実用化されている人工血管の口径は最も小さなものでも6mmを下らない。 現在まで申請者らの研究グループでは新規の方法による組織脱細胞化法を開発し、これを血管に応用することで極めて高い開存率を示す小口径血管の作成に成功した。本脱細胞化血管を実験動物に移植したところ、血管内皮細胞のみならず血管平滑筋細胞が中膜の層を形成することが明らかとなった。昨年までの研究により、移植後約1年の再生血管では、ワイヤーミオグラフシステムを用いる事で、血管の薬剤に対する収縮や弛緩反応を認めた。また、免疫組織学的には外膜に該当する部位に抗neurofilament抗体により陽性に染色される軸索の侵入を認めた。この軸索は一部、中膜(平滑筋層)へも侵入していた。 次に、口径1mmの再生型人工血管の実用化を目指す上で、口径を更に縮小する事、また実用面で保存できる事の可能性を探った。まず、総頸動脈(口径約1mm)を脱細胞化し、これを腹部大動脈に移植した所、開存が得られた。次に、脱細胞化された血管を蒸留水で脱塩したのち、凍結乾燥し、これをリン酸緩衝液により一旦、水和させたのちに再度移植した所、開存が得られた。以上より、より小口径で保存可能な血管であることが示唆された。
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