2012 Fiscal Year Research-status Report
ラットリンパ浮腫モデルにおけるリンパ管再生の経時的変化
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24791905
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松本 久美子 岡山大学, 大学病院, 医員 (20616049)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | リンパ管 / 再生 |
Research Abstract |
1)下肢の浮腫の経時的変化を観察、評価した。下腿浮腫モデルは計画通りラットに下肢切断再接着術にて作成した。ラット6匹を用い再接着術後の浮腫の経過を観察した。術前、術後1、3,5、7,10、14日後に足関節部で周径を測定した。術前の周径の平均が26.4mmであるのに対し、術後3日目では平均31.7mmで最大となり、その後徐々に小さくなり、術後10日目には27.3mmにまで減少した。現在統計処理を行っている。 2)術後のリンパ管の経時的変化を色素注入法とFLG-ICG法で肉眼的に観察、評価した。色素注入法では術後後2日目から下肢全体にび慢性に色素が広がるのが確認された。すなわちリンパ液のリンパ管外への漏出が観察され始めた。4日目以降で皮下の毛細リンパ管が描出され始め、同時にび慢性の漏えいは減少していった。切断部を超えて中枢のリンパ管へ流入する様子が観察され始めるは8日目以降であった。これに対しFLG-ICG法ではほぼ同様の所見であったが、中枢を超えるのは5日目以降にみられた。FLG-ICG法の方が感度が高いことが分かった。 3)組織学的な経時的変化を観察、評価した。予想より変化が早く起きていたことより、術前、術後7、14日でそれぞれ3下肢の組織標本を作成することに変更した。染色はHE染色、Podoplaninによる免疫組織化学染色を行った。また、免疫組織化学染色の際には抗原賦活化の操作を加え、より確実な染色像を得られるように工夫した。リンパ管数の平均値は正常ラットで318、術後7日のものは523、術後14日のものは581で術後にリンパ管数が増加することが明らかとなった。そのリンパ管の形態に関しては術後の方が管腔面積の大きいものが多かった。現在統計処理を行っている。また、術後2日でリンパ管から漏えいした色素は皮膚直下の脂肪織内にあることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
24年度の研究は、計画調書の通りに遂行することができた。実際に研究を進めるうえで、変更したほうが望ましいと考えられたものに関しては適宜変更し、最終目的が遂行できるよう工夫した。具体的には観察時間やモデル作製の手順等変更を行った。25年度に組織標本の作製を計画していたが、24年度の計画が順調に進展し、前倒しで行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
実験結果の統計処理を行い、研究統括を行い、論文作成を行っていく予定である。しかしながらリンパ管数の測定値に幅があるため組織標本を増やす必要があると考える。計画通り遂行できた際には、得られた結果をもとに研究を進めていく予定である。リンパ管再生力が低下していると思われる老齢ラットにおいて同様の実験を行い、老化に伴うリンパ管の変化の観察、評価を行いたい。また、治療的手術を行い、その後の経過を観察する。現在臨床で行われているリンパ管静脈吻合術やリンパ管移植術を行い、非手術例との比較を行うことを計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
綿密な研究費の使用計画を立案し適正な研究費使用に心がけていく。次年度はまず標本作製をさらに行う必要が考えられる。免疫組織化学染色を行っており、試薬代も含めこれの作製費に支出する。また、研究協力者である須網博夫が米国で研究を行っているため、新しい知見の習得と指導を仰ぐため、旅費として費用を支出する。次年度は最終年度であるため論文投稿、学会参加のためにも支出する予定である。初年度内に研究者が産休育休をとったため研究が中断し、初年度の使用額が予定よりも少なく、次年度に使用予定である。
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Research Products
(4 results)