2013 Fiscal Year Annual Research Report
ラットリンパ浮腫モデルにおけるリンパ管再生の経時的変化
Project/Area Number |
24791905
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松本 久美子 岡山大学, 大学病院, 医員 (20616049)
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Keywords | リンパ管 / リンパ管造影 / リンパ管の術後変化 / podoplanin / リンパ管の分布 |
Research Abstract |
研究期間全体の2年間でラット下肢再接着後のリンパ管の変化について①過酸化水素を用いたリンパ管内色素注入法、②インドシアニングリーンを用いたリンパ管造影法(以下FLG-ICG法)、③組織学的手法により経時的変化を観察した。 平成24年度:色素注入法では術後2日目から下肢全体にび慢性に色素が広がるのが確認された。すなわちリンパ液のリンパ管外への漏出が観察され始めた。4日目以降で皮下の毛細リンパ管が描出され、切断部を超えて中枢のリンパ管へ流入する様子が観察され始めるは8日目以降であった。これに対しFLG-ICG法では中枢を超えるのは5日目からみられた。術前、術後7、14日でそれぞれ3下肢の下肢丸ごとの水平断の組織標本を作成した。HE染色、リンパ管マーカーである抗Podoplanin抗体による免疫組織化学染色を行い、術後にリンパ管数が増加することが明らかとなった。 平成25年度:初年度の組織学的観察の結果を踏まえ、詳細な観察を行った。正常ラットの下肢丸ごとの水平断面標本において、抗podoplanin抗体による免疫組織化学染色を行い観察した。リンパ管には環状構造を持つものと、線状になっているものがみられた。環状リンパ管は皮膚では全体に均等に分布しているのではなく、伸側に最も多く、次いで屈側に多く分布していた。深部では筋膜上、骨周囲などの組織間に多く分布していた。筋肉内では筋束間の血管に一致して走行していた。環状リンパ管の分布は皮膚皮下組織までの浅層に70.6、これより深部の深層に190.7であり、正常においては深層の方が約3倍多く存在することが明らかになった。また、術前、術後7日、14日の環状リンパ管数を比較した。リンパ管数は浅層では、術前は70.6に対し術後7日で221.8、術後14日で226.2といずれも有意差をもって増加していた。一方、深層においては術前190.7、術後7日206.2、術後14日で307.3と増加傾向はみられたが、有意差は認められなかった。
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