2013 Fiscal Year Research-status Report
筋線維芽細胞の分化・機能を制御するプロスタグランジンを標的とした創傷治癒の促進
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24791932
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
武井 史郎 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 病理学部, 客員研究者 (60398576)
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Keywords | 創傷治癒 / 筋線維芽細胞 / プロスタグランジン |
Research Abstract |
平成25年度は肉芽組織による創傷治癒を効果的に観察するためにSplintedモデルを作製し、創傷9日後における野生型マウス(Wildマウス)とprostamide/PGF synthase(PM/PGFS)欠損マウス(KOマウス)との創傷治癒過程を形態学的解析に比較した。まずHE染色標本において、創傷部の形態学的比較を行った。創傷部における再生表皮の形成は両系統において同程度であったが、肉芽組織の厚さはKOマウスにおいて約30%減少しており、KOマウスでの肉芽組織形成がWildマウスに比べて不良であることがわかった。次に創傷部における創傷治癒過程の進行度を比較するために、創傷治癒に関連する各種マーカー抗体などを用いた組織学的な比較定量解析を行った。肉芽組織においては、血管内皮細胞マーカーであるCD31、線維芽細胞マーカーであるHSP47、コラーゲン染色であるGomori-Trichrome染色は両系統において同程度であり、血管新生とコラーゲン再生は両系統間で有意な差を示さなかった。一方で、マクロファージマーカーであるCD68はKOマウスにおいてWTよりも約3倍の発現上昇を示していた。加えて、KOマウスにおける筋線維芽細胞マーカーであるalpha-SMAの発現は有意ではないものの、WTと比べて約半分に減少の傾向を示した。以上のことから、KOマウスの肉芽組織においてはマクロファージの増加や筋線維芽細胞の減少により肉芽組織形成の遅延が引き起こされていることが考えられ、prostamide/PGF synthaseは筋線維芽細胞やマクロファージの活動に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度はSplintedモデルに成功し、prostamide/PGF synthaseの欠損による肉芽組織形成の遅延を見いだすことができ、この遅延には筋線維芽細胞との関係が示唆できた。この結果は申請者が計画した通りの結果であり、今後も計画通りの研究遂行が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度ではリング付モデルにおける各種プロスタグランジン類のLC-MS/MSによる一斉定量解析を行い、WildとKOマウスとの比較を行っていき、創傷治癒におけるprostamide/PGF synthaseが関与するプロスタグランジンを同定したい。また動物モデルによる解析結果が得られてきた後には、WildマウスとKOマウスを用いた初代培養に基づく線維芽細胞保持コラーゲン格子モデルを用い、in vitroモデルでの解析を開始していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度においては生化学的実験の試薬および平成26年度に予定している実験用の試薬を購入したため、26,290円の次年度使用額が生じた。 平成26年度の助成金は当初の計画通り、使用していく予定である。次年度使用額にて購入した試薬は平成26年度の研究遂行にも使用する試薬でもあるため、今回の次年度使用額の発生が次年度の研究遂行に支障を来すことはない。
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[Journal Article] Excitotoxicity-induced immediate surge in hippocampal prostanoid production has latent effects that promote chronic progressive neuronal death.2013
Author(s)
Yoshikawa K, Kita Y, Furukawa A, Kawamura N, Hasegawa-Ishii S, Chiba Y, Takei S, Maruyama K, Shimizu T, Shimada A.
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Journal Title
Prostaglandins, Leukotrienes and Essential Fatty Acids
Volume: 88
Pages: 373-381
Peer Reviewed
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[Journal Article] Exome sequencing of senescence-accelerated mice (SAM) reveals deleterious mutations in degenerative disease-causing genes.2013
Author(s)
Tanisawa K, Mikami E, Fuku N, Honda Y, Honda S, Ohsawa I, Ito M, Endo S, Ihara K, Ohno K, Kishimoto Y, Ishigami A, Maruyama N, Sawabe M, Iseki H, Okazaki Y, Hasegawa-Ishii S, Takei S, Shimada A, Hosokawa M, Mori M, Higuchi K, Takeda T, Higuchi M, Tanaka M.
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Journal Title
BMC Genomics
Volume: 14
Pages: 248
Peer Reviewed
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