2014 Fiscal Year Annual Research Report
筋線維芽細胞の分化・機能を制御するプロスタグランジンを標的とした創傷治癒の促進
Project/Area Number |
24791932
|
Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
武井 史郎 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 病理学部, 客員研究者 (60398576)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 創傷治癒 / 筋線維芽細胞 / プロスタグランジン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は平成25年度に引き続き、肉芽組織による創傷治癒を効果的に観察するためにSplintedモデルを作製し、創傷9日後における野生型マウス(Wildマウス)とprostamide/PGF synthase(PM/PGFS)欠損マウス(KOマウス)との創傷治癒過程の形態学的解析な比較を行った。今回は肉芽組織における脂質の動態を可視化するために、ズダン黒B染色による脂質の形態学的解析を行なった。WTマウスでは肉芽組織内において、ズダン黒B陽性の明確な構造はほとんど観察されず、マクロファージに取り込まれた異物が顆粒状に染色されるのみであった。一方、KOマウスにおいては、肉芽組織内で直径約10マイクロメートルの脂肪滴様の構造が複数観察された。これらズダン黒B染色標本の定量解析を行ったところ、WTマウスでは肉芽組織内でのズダン黒B陽性構造の面積割合は0.84%だったのに対しKOマウスでは3.21%と約4倍の増加を示すことが明らかとなった。この結果は両側t検定においても有意であったため、KOマウスでは創傷9日後での肉芽組織においてWTよりも有意に脂肪滴様の脂質を蓄積させることが明らかになった。PM/PGFSは脂質の代謝に関わる酵素であるため、KOマウスにおいては脂質の代謝がなんらかの異常を来していると想定される。加えて、昨年度の成果から、KOマウスではWTマウスよりも再生肉芽組織の厚さが薄く、WTマウスよりも創傷治癒が遅延していることが明らかになっている。以上より、PM/PGFS欠損に起因する脂質代謝の異常が肉芽組織での脂肪滴の蓄積を引き起こし、結果としてKOマウスにおける肉芽組織による皮膚創傷治癒の遅延を引き起こしていることが推察された。
|