2013 Fiscal Year Annual Research Report
東日本大震災における避難所で発生した呼吸器疾患のリスク因子の調査
Project/Area Number |
24791934
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
川野 貴久 福井大学, 医学部附属病院, 医員 (80622901)
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Keywords | 避難所 / 感染症 / 災害 |
Research Abstract |
最終年度である平成25年度は主に①追加調査、②学会発表、③解析を行った。避難所のカルテのデータ化は予算の限りがあるため、大規模な避難所を中心に行った。しかし、統計解析を行うにあたってサンプル数を増やす必要があり、今年度にもカルテのデータ化を行った。最終的には学校や大学、公共施設などを中心にした大規模避難所42か所すべてのカルテをデータ化した。それに追加して、石巻市教育委員会や石巻市役所を通じて各学校、公共施設に震災時の被災状況の追加調査を行った。震災後の復旧状況を調べるために石巻地方広域水道企業団、石巻市役所にも追加調査を行った。最終年度は災害研究に関する情報を入手する目的と社会に対する情報公開をかねて学会発表を行った。具体的には、2つの国際学会に参加し、災害研究に関する最新の知見を得るとともに、今回の研究と並行して行っている「避難所における胃腸炎の流行に関する因子の研究」を口演した。二つの国際学会を通じて、海外のstatisticianと知り合いになり現在共同してデータ解析にあたっている。 今回の2年間にわたる研究を通じて、今まで災害後に明らかにされていなかった避難所における呼吸器疾患の発生頻度と関係している環境因子の関係を明らかにしてきた。過去の阪神淡路大震災時にも避難所で呼吸器疾患の患者の増加が報告されているが、今回の研究のように大規模であり被災状況や衛生状況と関連性を調べた研究は行われていない。今回の研究において気道感染症が最も避難所で多く発生し、約40~50%の避難者が罹患することが明らかになった。またこれらは混雑している避難所で最も多く発生した。今回の研究結果は今後の避難所の運営における重要な基礎データになると思われる。
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Research Products
(3 results)