2012 Fiscal Year Research-status Report
クラッシュ症候群における炎症惹起と臓器障害進行のメカニズム解明
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24791941
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
島崎 淳也 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40528767)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | クラッシュ症候群 / HMGB1 / DAMPs |
Research Abstract |
クラッシュ症候群は大災害時に多発し、しばしば全身性炎症反応症候群から多臓器不全に至る難治性の病態である。そのメカニズムは不明であり、現在は対症療法しか治療法がない。我々はDAMPsに注目した。圧挫によって損傷した組織からHMGB1や遊離DNA・RNAなどのDAMPsが血中に放出され、炎症を惹起しているのではないかと仮説をたてた。本実験の目的はクラッシュ症候群におけるDAMPsを評価することで炎症惹起のメカニズムを解明し、新規治療法の開発を行うことである。 確立したラットクラッシュ症候群モデル(両後脚をそれぞれ3kgの錘で6時間圧迫し、3時間の再灌流を観察する)を用いる。このモデルの7日死亡率は未治療で90%、大量輸液を行えば70%程度である。 ①大量輸液を施行したラットモデルの血中HMGB1を測定したところ、圧迫解除3時間後に著明な上昇を認めた。大量輸液に加えて抗HMGB1交代投与を行うことで血中HMGB1の抑制と死亡率の有意な改善を認めた(30% vs 65%)。このとから、クラッシュ症候群の炎症惹起にはHMGB1が関与しており、これを抑制することで死亡率の改善が得られることが判明した。 ②グレリンは胃から産生され、下垂体に作用して食欲を増進させるホルモンとして知られているが、抗炎症作用をもつ。クラッシュ症候群ラットモデルに対してグレリンを投与した。グレリン投与群でわずかな死亡率改善が見られたが、有意差は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、おおむね順調に解析がすすんでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の申請書通りに解析を進める予定である。クラッシュ症候群をラットモデルを用いた用いて炎症惹起のメカニズムと新規治療薬の効果について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度同様に、物品費・旅費などに使用する予定である。
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Research Products
(2 results)