2013 Fiscal Year Annual Research Report
クラッシュ症候群における炎症惹起と臓器障害進行のメカニズム解明
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24791941
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
島崎 淳也 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任研究員 (40528767)
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Keywords | クラッシュ症候群 / HMGB1 / RAGE / DAMPs |
Research Abstract |
クラッシュ症候群は大災害時に多発し、しばしば全身性炎症反応症候群から多臓器不全に至る難治性の病態である。そのメカニズムは不明であり、現在は対症療法しか治療法がない。我々はダメージ関連分子パターン(DAMPs)に注目した。圧挫によって損傷した組織からHMGB1や遊離拡散などのDAMPsが血中に放出され、炎症を惹起しているのではないかと仮説をたてた。本実験の目的はクラッシュ症候群におけるDAMPsを評価することにより炎症惹起のメカニズムを解明し、新規治療法の開発を行うことである。 確立したラットクラッシュ症候群モデル(両後脚をそれぞれ3kgの重りで6時間圧迫し、3時間の再潅流を観察する)を用いる。このモデルの7日死亡率は未治療で90%、大量輸液を行えば70%程度である。 ①大量輸液を施行したラットモデルでは圧迫解除早期に血中HMGB1の上昇を認め、抗HMGB1抗体投与を行うことで血中HMGB1の抑制と死亡率の有意な改善を認めた。 ②ラットクラッシュ症候群モデルの肺ではRAGEの発現増多を認めた。RAGEはHMGB1の受容体の1つであり、炎症惹起に関与していると疑われた。 ③ラットクラッシュ症候群モデルに対してこ抗RAGE抗体を投与したところ、有意な死亡率の改善を認めた。 上記のことから、HMGB1およびRAGEはクラッシュ症候群の炎症惹起に重要な役割を演じており、これらを制御することで炎症を抑え、死亡率の改善につながることが明らかとなった。
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