2014 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素応答への介入による非脱分極性筋弛緩薬の肺保護効果についての研究
Project/Area Number |
24791942
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
舩木 一美 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (30423263)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 非脱分極性筋弛緩薬 / 低酸素性肺血管収縮 / HIF-1α / 肺循環 / 肺傷害 / 肺保護効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で、非脱分極性筋弛緩薬によるHPV抑制作用は可逆性で、灌流液のpH変化が関与せず、肺血管拡張作用と同一の現象とは考えにくいことなどを知見として得ていた。その後、IN VIOVO実験では、突然死などによる実験遂行に障害がみられ、摘出灌流肺モデルによる実験に切り替えて検討を行った。 Funakoshiのモデルを参考に、無気肺・再膨張肺傷害モデルを作成した。非脱分極性筋弛緩薬(ベクロニウム、ロクロニウム、パンクロニウム、アトラクリウム)によるTNF-α、IL-1β、HIF-1αのmRNAへの発現量への影響を検討した。TNF-α、IL-1βのmRNAについては無気肺・肺再膨張により有意に発現量が増加したが、HIF-1αのmRNAについては有意な影響を示さなかった。そして、非脱分極性筋弛緩薬は、TNF-α、IL-1β、HIF-1αのmRNAへの発現量に有意な影響を示さなかった。また、肺血管外水分透過量、ミエロパーオキシダーゼ、肺血管抵抗についても各群で有意差を認めなかった。ただし、肺乾湿重量比は、無気肺・肺再膨張施行の有無で有意差を認めなかった。A549細胞で非脱分極性筋弛緩薬のHIF-1αへの影響を検討したが、2時間の低酸素状態では有意な影響を与えなかった。 今回の無気肺・再膨張肺傷害モデルでは、非脱分極性筋弛緩薬の肺保護効果を認めなかった。また、細胞レベルでも非脱分極性筋弛緩薬のHIF-1αへの有意な影響を示せなかった。ただし、今回の無気肺・再膨張肺傷害モデルは肺傷害の程度が弱く、無気肺時間も1時間と短時間であった。また、肺傷害モデルを元に細胞実験でも低酸素を2時間と短時間であった。したがって、非脱分極性筋弛緩薬のHPV抑制およびHIF-1αを介した低酸素応答による肺保護効果の有無については現時点では評価しきれなかった。
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