2013 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症病態における単球系細胞死の機序解明と炎症消退脂質による新しい治療法の開発
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24791946
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
中山 力恒 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 助教 (90568198)
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Keywords | 敗血症 / 細胞死 / 単球系細胞 / 炎症消退脂質 |
Research Abstract |
(目的)我々はこれまでに、分化型THP-1細胞及びヒトMacrophageをLPS投与下に異なった糖濃度の培地で72時間培養し、アポトーシス変化についての実験を行い、高糖濃度環境下ではアポトーシスの促進が認められ、またその細胞内情報伝達系の上流に小胞体ストレスの関与が考えられた。前年度は、LPS投与下の培養実験において、小胞体ストレスとして核内CHOPの発現が経時的に上昇し、かつ高糖濃度環境下においてCHOPの発現がさらに上昇することが明らかになった。また、CHOP遺伝子発現をノックダウンすることにより細胞死が抑制されることがわかった。 今年度は、炎症消退脂質であるレゾルビンD2の投与による、敗血症病態における単球系細胞死とCHOP発現に対する抑制効果について検討を行った。また、様々な病態制御に関連しているといわれているmicroRNA(miRNA)に着目し、次世代シーケンサIon PGMシステムを用いて、敗血症時の単球系細胞死に関与するmiRNA発現の網羅的な検索を行った。 (結果)レゾルビンD2投与により、LPS投与下、高糖濃度環境下におけるアポトーシスの抑制および核内CHOPの発現抑制を認めた。また、予備実験においてmiR-211,-204などのmiRNAの変化を認めた。 (結語)敗血症時の単球系細胞死において、その細胞内情報伝達系の上流に小胞体ストレスの関与が考えられ、高糖濃度環境下においては細胞死および小胞体ストレスが促進されることがわかった。また、炎症消退脂質であるレゾルビンD2投与によってこれらの細胞死およびCHOP発現を抑制することができたことから、今後、敗血症治療における薬物治療への活用の可能性が示唆された。今後、miRNAについてもさらに実験を行い、敗血症病態に対するmiRNAによる遺伝子治療の検討も行いたい。
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