2012 Fiscal Year Research-status Report
頭部外傷におけるPACAPの神経保護作用と機序の解明
Project/Area Number |
24791954
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
宮本 和幸 昭和大学, 医学部, 助教 (80555087)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 頭部外傷 / PACAP38 / 神経保護作用 / 抗酸化作用 / Western blotting / PAC-1 recepter |
Research Abstract |
重症頭部外傷は日本において死亡率51%の未だに予後不良の外傷であり、新たな治療戦略の開発が急務とされている。頭部外傷では受傷直後におこる一次性脳損傷とその後に生じる二次性脳損傷が知られている。この二次性脳損傷の抑制が頭部外傷の予後に重要であり,活性酸素種や酸化ストレスの関与が示唆されている。 我々はマウス頭部外傷モデルを用いて活性酸素種は受傷受傷3時間後より産生され、酸化ストレス・神経細胞死は受傷6時間から発生することを発見した。このための頭部外傷から3時間後の抗酸化剤(エダラボン)投与が最も有効であったことを報告した(Miyamoto.K et al,2013)。 PACAP (pituitary denylate-cyclase activating polypeptide)は神経保護作用を有し、脳虚血モデルで脳梗塞の抑制作用が報告されている。近年、申請者らはPACAP38がPAC-1 receptorを介して抗酸化作用を有することを見出した。PACAP38は直接、活性酸素消去能を有さないことから、本作用はPACAPの生体を介した作用であることが示唆される 本年度はPACAP38の投与(静注+持続静注)を頭部外傷直後に行い24時間後の損傷体積を測定した。結果、PACAP38投与が損傷体積を有意に抑制することを発見した。また、その機序を解明するために頭部外傷後の脳組織のWestern blottingを行った。結果、損傷半球・健常半球におていMn-SOD, Gpx-1の抗酸化酵素活性の有意な上昇を認めた。しかし、Thioredoxin-1, HO-1, Zn,Cu-SODでは有意な上昇を認めなかった。このことからPACAP38の投与がMn-SOD, Gpx-1等の生体内抗酸化酵素の活性を高めることで抗酸化能を間接的に高め神経保護作用をもたらす可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はPACAP38の投与が頭部外傷後の神経損傷領域を有意に減少させその機序として生体内の抗酸化酵素(Mn-SOD, Gpx-1)の活性を高めることを発見した。これらは以前に我々が報告したPACAP38投与がマウスにおいて生体内の抗酸化能を高める結果と一致しておりこれまでの方向性が適切であったと考えられる。 我々の研究室では以前よりPACAP38の研究が多く実施されPACAP KO miceもすでに自家繁殖させている。今後はPACAP38がどの受容体を介して抗酸化酵素を活性化し、抗酸化能を向上させるかの機序について検討を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記にあるようにPACAP38投与が生体内の抗酸化酵素を間接的に活性化し神経保護作用を有することがあきらかになった。PACAP38はPAC-1 receptor, VPAC-1, VPAC-2 receptorを介して作用し、VIPと共通の受容体を介して作用することが知られている。我々は野生型マウスにおいてPACAP38がPAC-1 receptorを介して抗酸化作用を有することを見出した。しかし、頭部外傷後にPACAP38がどの受容体を介して作用するかについてはほとんど検討されていない。今年度はPACAP38が頭部外傷後にどの受容体を介して作用するかについて検討する。具体的にはPACAP6-38(PAC-1 receptor, VPAC-2 receptorの拮抗薬)とPACAP38を投与しVPAC1が頭部外傷後にどの程度関与しているかについて検討する。また、VPAC1受容体拮抗薬を用いてPAC-1受容体がどの程度関与しているかについても検討する。さらに、PACAP38はもともと抗酸化作用以外にも神経保護作用をもつことから活性酸素種の産生が少ないgp91 phox KOマウスを用いてPACAP38の抗酸化作用以外の神経保護作用についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度予算1200000円に加え前年度からの繰り越しで115841円で合計12115841円が今年度の予算となる。今年度は物品費880000円、旅費250000円、謝金0円、その他1095841円を予定している。前年度からの繰り越し分については主に2012年度より投稿していた学術論文(Therapeutic time-window for edaravone treatment of traumatic brain injury in mice.BioMed Research International Special Issue on DNA Damage and Oxidative Stress in Human Disease, Hindawi publishing)が受理されたために投稿料、英文校正料として用いる。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Accumulation of autofluorescent storage material in brain is accelerated by ischemia in chloride channel 3 gene-deficient mice.2013
Author(s)
Ohtaki H, Ohara K, Song D, Miyamoto K, Tsumuraya T, Yofu S, Dohi K, Tanabe S, Sasaki S, Uchida S, Matsunaga M, Shioda S.
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Journal Title
J Neurosci Res.
Volume: 90
Pages: 2163-72
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 重症熱中症における血中Na濃度異常の検討2013
Author(s)
樫村 洋次郎, 三宅 康史, 福田 賢一郎, 宮本 和幸, 中村 俊介, 田中 啓司, 平塚 圭介, 林 宗博, 田中 幸太郎, 有賀 徹
Organizer
第63回日本救急医学会関東地方会
Place of Presentation
東京都
Year and Date
20130216-20130216
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