2013 Fiscal Year Research-status Report
頭部外傷におけるPACAPの神経保護作用と機序の解明
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24791954
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
宮本 和幸 昭和大学, 医学部, 助教 (80555087)
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Keywords | 頭部外傷 / PACAP38 / 神経損傷 / 神経保護 / 活性酸素種 / 酸化ストレス / 抗酸化 |
Research Abstract |
頭部外傷は未だに重篤な疾患でありその治療法が確立されていない。頭部外傷では受傷直後におきる一次性損傷と数時間後から始まる二次性損傷にわけられる。この二次性脳損傷に過剰に産生された活性酸素種, 酸化ストレスが増悪因子となることが知られている。Pituitary adenylate cyclase-activating polypeptide (PACAP)は、アポトーシス抑制による神経保護作用を有することが知られている。さらに近年、我々は正常動物においてPACAP38が循環中の酸化ストレスを制御することを報告した。そこで本研究はマウス頭部外傷モデルを用いPACAP38の神経保護、酸化ストレスに対する効果を検討した。本研究では雄性成熟マウスに頭部外傷を作成し、直後に生理食塩水またはPACAP38を静脈内に持続投与した。24時間後にフルオロジェードB染色による細胞死領域および酸化ストレスをNitrotyrosine (NT)の免疫染色により評価した。また, 受傷3時間後の大脳皮質を損傷・非損傷半球にわけ抗酸化酵素群をWestern blottingを用い半定量した。結果、PACAP38投与群は有意に24時間後の損傷領域を減少した。さらにNT陽性反応を低下した。受傷3時間後の抗酸化酵素のMn-SOD、GpX-1が損傷半球, 非損傷半球双方でPACAP投与群において有意に高かった。また、PACAP38どの受容体を介して作用を及ぼすかを検討するためにPACAP6-38(PACAP38のantagonist)を投与し検討した。結果、PAC1受容体、VPAC2受容体は介さず作用することが判明した。上記から、PACAP38はこれまでの神経保護作用に加えMn-SOD, GpX-1などの抗酸化酵素を介した神経保護作用がある可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目は手技の確立をおこなった後、PACAP38を頭部外傷直後に静脈・持続静注を行い、24時間後に神経損傷領域が減少することを確認した。2年目は、PACAP38の神経保護作用の機序に酸化ストレスの制御が関与しているかについて検討した。ニトロチロシン代謝産物を受傷後24時間に免疫染色をおこない、PACAP38投与により頭部外傷後24時間の酸化ストレスが抑制されていることを確認した。以前の研究から本モデルでは頭部外傷後3~4時間が非常に酸化ストレス・抗酸化のバランスが不安定でありこの時間への介入が極めて重要であることが判明している。このため、頭部外傷から3時間後に損傷側・非損傷側の大脳皮質を別々に回収しWestern blottingを行い、抗酸化酵素について比較した。PACAP38投与群ではMn-SOD,GpX-1が有意に上昇していた。このため、PACPA38は抗酸化力を増加させることが神経保護作用の一因として関与していることが示唆された。 本年度は、PACAP38がどの受容体を関与して作用しているかについて検討をおこなった。PACAP6-38(PAC-1 receptor, VPAC2 receptorのantagonist)をPACAP38の10倍量投与しPACAP38の抗酸化への作用について検討した。結果、PACAP38はPAC-1, VPAC2受容体を介さない経路で神経保護作用を有することが判明した。また、本結果をもとにJournal of molecular neuroscienceに投稿し2014年4月にacceptされた。
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Strategy for Future Research Activity |
上記記載にあるように2年目まではPACAP38が生体内の抗酸化を増加させることが頭部外傷後の神経保護の一因として関わっていることが判明した。また、現段階で判明した内容を基にJournal of Molecular Neuroscienceに投稿しacceptされた。 過去の報告から、ヒト頭部外傷において脳の病理解剖をおこなった報告からPACAP38受容体が通常より多く損傷領域とその周囲に発現している報告がある。今年度はPACAP38の抗酸化作用が頭部外傷後の神経保護にどう寄与しているかについて検討をおこなう。まず、活性酸素種の産生が少ないGp-91 KOマウスに同様の手技で頭部外傷を作成する。同マウスにPACAP38お投与を同様の方法でおこない受傷3時間における抗酸化についてWestern blottingを用いて検討する。また、PACAP KOマウスを用いて、PACAPが全く存在しない状況下での頭部外傷後3時間の抗酸化について検討をおこない、PACAPの抗酸化がどう神経保護作用に影響を及ぼしているかについて明らかにする。それらの結果を基に新たに論文を作成しJournal of neurotraumaに投稿をする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Journal of molecular neuroscienceへ投稿しaccept時が年度をまたいだために繰越金が発生した。 Journal of molecular neuroscienceにacceptされたことから、別刷の費用・英文校正費用・掲載費用として用いることを検討している。
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Research Products
(22 results)
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[Journal Article] PACAP38 suppresses cortical damage in mice with traumatic brain injury by enhancing antioxidant activity.2014
Author(s)
Miyamoto K, Tsumuraya T, Ohtaki H, Dohi K, Satoh K, Xu Z, Tanaka S, Murai N, Watanabe J, Sugiyama K, Aruga T and Shioda S
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Journal Title
Journal of molecular neuroscience
Volume: In press
Pages: In press
Peer Reviewed
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[Journal Article] Accumulation of autofluorescent storage material in brain is accelerated by ischemia in chloride channel 3 gene-deficient mice.2013
Author(s)
Ohtaki H, Ohara K, Song D, Miyamoto K, Tsumuraya T, Yofu S, Dohi K, Tanabe S, Sasaki S, Uchida S, Matsunaga M, Shioda S.
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Journal Title
J Neurosci Res.
Volume: 90
Pages: 2163-72
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Establishment and characterization of primary adult microglial culture in mice.2013
Author(s)
Ohtaki H, Tsumuraya T, Song D, Sato A, Ohara K, Miyamoto K, Nakano H, Kiriyama K, Dohi K, Hiraizumi Y, Matsunaga M, Shioda S.
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Journal Title
Acta Neurochir Suppl.
Volume: 118
Pages: 49-54
DOI
Peer Reviewed
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