2012 Fiscal Year Research-status Report
ポルフィロモナス・ジンジバリスが分泌する新規病原蛋白に関する解析
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24791964
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
近藤 好夫 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 研究員 (30581954)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 歯学 / 細菌 / 歯周病 / Porphyromonas gingivalis |
Research Abstract |
歯周病細菌であるP. gingivalis の病原因子は既に幾つかの有力なものがこれまでに報告されているが、まだ多くの病原因子が存在しうる。近年、私たちはTprA がTapA, TapB, TapC と協調して機能し病原性に関与することを明らかにした。しかしTapA, TapB, TapC についてはこれまでに詳細な報告はない。特にTapA あるいはTapC は菌体表層に局在する蛋白であることから、直接的に病原性に関わる因子であると予想される。また、TapAとTapCに関しては相同性が非常に高く、類似した機能を持つと思われるが、TapCは強毒株であるW83株にしか存在せず、弱毒株であるATCC33277株には存在しない。本年度はTapAあるいはTapCの病原性への関与について調べることを目的に、これらの欠損株が上皮細胞への侵入性あるいは貪食細胞への貪食が変化しているかを検討することにした。 それにあたり、まずは細胞侵入性をスクリーニングすることを目的にヒトの歯肉上皮細胞を用いてantibiotic protection assayを行ったところ、わずかな差ではあったが、tapA欠損株・tapC欠損株では細胞内への侵入性が低下していた。これをさらに検証するために顕微鏡下での観察を試み、まずは蛍光蛋白を発現する菌株の作成を行った。しかし、十分な蛍光を発する菌株を得ることができなかった。 またTapAあるいはTapCは細胞表面への接着あるいは細胞内への侵入に関与する蛋白質である可能性があることから、宿主の標的蛋白の同定を考えている。そこで、TapA, TapCの精製蛋白を用いてpull-down法など相互作用解析を行う予定である。TapCに関してはリコンビナント蛋白の精製に成功しているが、TapCに関してはまだ得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
蛍光蛋白を発現する菌株の作製を試みたが、発現させる事が困難であった。これに加えて発現に成功したのちも当初の予想に反して、蛍光強度が非常に微弱であった。 またTapCリコンビナント蛋白の精製については、様々が発現ベクターへの挿入を行ったが、いずれも発現しないか発現していても不溶性画分であったことから精製が困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は蛍光蛋白の遺伝子改変を行い翻訳しやすくする、ほかにも強力なプロモーターを使用するなど蛍光蛋白の発現量を増やすための工夫が必要かと思われる。または蛍光試薬で標識した菌を感染実験に使用するか感染実験の後にanti-P. gigivalis抗体を用いて免疫染色するなどの方法を用いる。 TapCに関しても大腸菌で精製しやすいように遺伝子改変を試みるか、あるいは部分的に発現を試みる。全長で発現させた方が好ましいかもしれないが、TapCのC末端側は自身の細胞膜への付着ドメインであることが分かっているため、まずはここだけでも排除して考えてもよいかと思われる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費については主に試薬など消耗品に使用する。
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