2013 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞維持機構におけるRhoキナーゼを介した上皮間葉転換の役割
Project/Area Number |
24791967
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
大津 圭史 岩手医科大学, 歯学部, 助教 (60509066)
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Keywords | エナメル芽細胞 / エナメル質 / 歯 / 幹細胞 / Rhoシグナリング / Semaphorin / slug / sox2 |
Research Abstract |
われわれはRhoキナーゼ (ROCK)の機能抑制がエナメル上皮細胞で上皮-間葉転換(EMT)をひき起こす新たな現象を見いだした。そこで本研究は、エナメル上皮幹細胞における、RhoシグナリングによるEMTの制御機構とその生物学的意義の解明を行った。結果:1、タモキシフェン誘導型上皮特異的RhoA-DN発現マウスを作製し、このマウスにおけるエナメル芽細胞の分化、EMT、幹細胞関連遺伝子の発現を観察したところ、RhoA-DN発現マウスはWTにくらべ、成獣、胎児ともエナメル芽細胞の分化が抑制され、細胞接着、細胞骨格に関わる因子、EMT制御因子の発現パターンが変化していた。2、マウス切歯器官培養、エナメル上皮細胞株をもちいた実験から、Rhoシグナル抑制はエナメル上皮細胞の増殖を促進した。3、レーザーマイクロダイセクションにてエナメル上皮幹細胞と分化したエナメル芽細胞の発現遺伝子を比較したところ、エナメル上皮幹細胞でEMT関連遺伝子Sox2, slugの発現が高く、逆にE-cadherin, Occuludinは低いことが分かった。4、Rhoシグナリングを調節する上流因子を探索したところ、神経軸索ガイダンス分子Semaphorin 4D(Sema4D)とそのレセプターであるPlexin B1の発現は、エナメル芽細胞分化とともに強くなっていた。エナメル上皮細胞におけるRho activation assayにより、Sema4DがRhoAの活性化、actinの重合を促進させ、逆にPlexinB1のsiRNAは、actinの重合を阻害した。さらにマウス切歯器官培養にSema4Dの中和抗体を添加したところ、エナメル芽細胞の分化が阻害された。 以上の結果より、Sema4D-RhoシグナリングがEMT関連因子の発現を制御することによってエナメル芽細胞分化、増殖を調節していることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)