2014 Fiscal Year Annual Research Report
歯原性腫瘍の発生・局所侵襲性獲得メカニズムにおけるerbBおよびAIDの関与
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24791968
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
宮崎 裕司 明海大学, 歯学部, 助教 (40526547)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | エナメル上皮腫 / AID / erbB / 局所侵襲 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト正常歯肉前駆細胞(HGEP)にthymosin beta 4(Tb4)を導入し(HGEP-Tb4)、歯原性上皮様細胞を作製した。その後、この細胞へ遺伝子編集酵素AIDを導入してabeloblastinならびにamelogenin発現への影響を調べた。その結果、ameloblastinはAID強制発現系によりその発現量を上昇させること、この発現量上昇は炎症性サイトカインにより抑制される傾向にあることが示され、またamelogeninはAID強制発現系ならびにインターフェロンの作用により発現量上昇が生じる傾向にあることが示された。HGEP-Tb4におけるerbBの発現量変化をreal-time RT-PCRで調べたところ、erbB2の発現量が上昇することが示唆された。erbB2は乳癌において発癌の主要因子の一つであると考えられており、この発現量上昇がみられたことは、悪性転換を起こしやすく、言い換えるならば、正常な上皮細胞が腫瘍化しやすくなったと考えられる。また、HGEP-Tb4を炎症性サイトカイン存在下で培養した後に細胞移動に関わるといわれている51 integrinの発現量を調べたが、明瞭な影響は見られなかった。本研究を通し、歯原性腫瘍、特にエナメル上皮腫の発生には歯原性上皮におけるAIDによるerbBプロモーターの変異、およびそれから派生する発現量上昇が関与しているが、エナメル上皮腫の局所侵襲性には関わっておらず、別のメカニズムによるものである可能性が示唆された。
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