2012 Fiscal Year Research-status Report
Treponema denticolaの細胞侵入に関する病原性の解明
Project/Area Number |
24791970
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
国分 栄仁 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (70453785)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
慢性歯周病巣から高頻度に検出されるTreponema denticola、Porphyromonas gingivalisおよびTannerella forsythiaの3菌種は、その歯周病の症状との強い関連からRed complexと呼ばれており、P. gingivalisに関する解析は数多く報告が挙げられるが、T. denticolaの病原性についてはいまだ不明な点が多い。 今回の目的はT.denticolaの病原性を明らかにするため、マラッセ上皮遺残細胞に対するT. denticolaの影響を検索した。ブタ由来マラッセ上皮遺残細胞を培養後、T. denticola ATCC35405および病原性遺伝子欠損株を感染させた。感染後に培養細胞からmRNAを採取し、PCR法にてInterleukin 1 (IL-1)およびIL-6、heat shock protein 70 (HSP70)の発現量を検索した。また、試料は固定後、走査型電子顕微鏡(SEM)および蛍光抗体法による顕微鏡観察にてIL2、IL-6、HSP70タンパク発現を観察した。さらに培養GFPラット口腔粘膜上皮に感染させてPI染色を行い生細胞のまま蛍光顕微鏡にて観察を行った。SEMによる観察では、感染30分後T. denticolaが細胞内に侵入する像を認めた。蛍光抗体法およびmRNA発現量の解析結果では、IL-6発現量はT. denticolaの感染後1時間をピークに減少し、HSP70は感染後3時間から24時間例まで増加した。病原性遺伝子欠損株ではHSP70 mRNA発現量が減少した、IL発現量に変化が認められた。また、生細胞の観察では、細胞と一部繋がったまま、T.denticola の脱出が認められた。以上の結果から、上皮細胞の免疫応答に対する回避機能を有する事が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに本年度研究実績の概要に記したように、形態学的観察およびPCR法を用いて細菌感染した際の細胞のmRNA発現を検索しており、おおむね良好な結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年および25年度はin vitroでの実験を行い、T. denticolaの細胞侵入および細菌感染による細胞内のシグナリング発現を検索する予定である。現在までに得られたmRNA発現の結果から、細菌感染によるサイトカイン発現は明らかであり、今後、その上流で発現をブロックさせることにより、実際にサイトカイン発現に変化が認められるかを検索する。それにより、T.denticola感染による細胞応答の機序を明らかにすることを今後の研究推進方策とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記内容の通り、25年度も引き続きin vitroでの実験を行い、T.denticola感染による細胞の動態検索を行う。サイトカイン産生の一連のカスケードを明らかにするほか、mRNA発現だけではなく、実際にタンパク質の産生が行われているかを検索する。
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