2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24791974
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
上田 甲寅 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (50448106)
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Keywords | 味覚 / 栄養 / カゼイン / 発生 |
Research Abstract |
味覚中枢の発生以前の胎生3日より、通常飼料と比して1/4のカゼイン配合量のカゼイン摂取制限食(カゼイン5%配合)を妊娠期の母ラット、新生仔ラットに継続的にあたえて制作したカゼイン摂取制限モデルラットに対して、2瓶法を用いて甘味(ショ糖、サッカリン)、塩味(塩化ナトリウム)、苦味(塩酸キニーネ)、うま味(グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウムおよびその混合液)に対する嗜好性調査を行ったところ、塩化ナトリウム、ショ糖に対する嗜好性には変化がみとめられなかった。一方、ショ糖と同じ甘味溶液であるサッカリンの嗜好率は有意に上昇した。また、うま味に関しては、グルタミン酸ナトリウムおよびグルタミン酸ナトリウム+イノシン酸ナトリウム混合溶液に対する嗜好率の変化はみとめられなかったが、イノシン酸ナトリウム単独の溶液に対する嗜好性は、著しく低下した。さらに苦味を呈する塩酸キニーネに対する嗜好性に統計的有意差はみとめられなかったが、体重あたりの塩酸キニーネ摂取量はカゼイン摂取制限モデルにおいて大きく増加していた。 これらの結果より、カゼインの継続的な摂取制限は、塩味に対する嗜好性に変化をもたらさないことが明らかになった。また、甘味嗜好性に関しては、ショ糖に対する嗜好性に変化がなくサッカリンの嗜好性の上昇がみとめられたが、サッカリンは甘味と同時に苦味を感じさせること、塩酸キニーネの摂取量がカゼイン摂取制限モデルにおいて増加していたことから、継続的カゼイン摂取制限は苦味に対する感受性に影響を与えている可能性が示唆された。うま味の質による嗜好率の差に関しては今後さらなる検討が必要であると考える。 また今後の課題としては、嗜好率の変化のみでなく末梢および中枢の味覚受容器の形態学的な変化に関してもさらに調査を進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)