2013 Fiscal Year Research-status Report
ファイブロサイト(fibrocyte)に注目した顎関節病変発症機構の解明
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24791981
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
衣斐 美歩 岩手医科大学, 医学部, 研究員 (30609665)
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Keywords | fibrocyte / 線維性疾患 / 顎関節 |
Research Abstract |
臓器の線維化は機能不全につながる大きな病態である。これらの線維化には組織固有の線維芽細胞(fibroblast)を含め様々な細胞が関わっていると考えられている。そのなかで近年肺や腎臓、心臓において血球系細胞と線維芽細胞の両方の性質をもつ線維細胞(fibrocyte)と呼ばれる細胞が線維化の発症に関与していることが報告されている。線維細胞は、末梢組織の線維化にも十分に関与している可能性があるが、それを確かめるモデル実験系が存在しなかった。そこで今回、蛍光色素強発現トランスジェニックマウスから細胞を採取し、顎関節部に炎症性病変を惹起させた非蛍光マウスに移植後、そのホーミングならびに炎症部位での動向をリアルタイム蛍光イメージングすることで顎関節における線維細胞の関与とその分子メカニズムについて明らかにすることを目的とする。 平成25年度は「単離・培養したfibrocyteのアジュバンド誘導性リウマチ関節炎発症マウスへの移植と顎関節とその他の関節部位での動向観察」をテーマとした。初めに、最近ラットで報告された方法(Wang X et al. 2012, PLOSONE) を応用してマウスに顎関節炎を効果的に発症させる条件の検討を行った。非蛍光マウスの顎関節に試薬を投与し顎関節炎を惹起させた。投与量および投与後の顎関節部での経時的変化を各マウス顎関節部の病理組織切片を作製し炎症性細胞の分布や下顎頭の形態変化を詳細に観察した。また移植する蛍光色素強発現マウスから採取した細胞に関してはその精度を高めるため、fluorescence activated cell sorting (FACS) にて詳細な解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の目標である「単離・培養したfibrocyteのアジュバンド誘導性リウマチ関節炎発症マウスへの移植と顎関節とその他の関節部位での動向観察」についてはいくつかの点において計画を変更したがおおむね実施できた。研究を立案した当初は、リウマチ関節炎を顎関節に惹起することを計画していたが、最近より簡便に効果的に顎関節炎を惹起させる方法がラットで報告されたためそちらに変更した。今後ヌードマウスを使用して生体内でのホーミング機構を観察するためにはより確実に炎症を惹起させる条件および技術が必要であり、現在も検討中である。移植する蛍光強発現細胞の採取に関してはほぼ確立してきている。
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Strategy for Future Research Activity |
従来の研究計画に沿って、顎関節炎発症マウスに細胞を移植し、その動向をin vivoリアルタイムあるいは顎関節炎症発症部の病理切片上で観察する。さらに移植した細胞が顎関節の線維化に関わるメカニズムについて、ケモカイン/ケモカインレセプター関係や組織周囲の線維芽細胞との相互関係から明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末近くに行った実験が一部計画通りに進まず、次年度に改めて実施することとしたため。 fibrocyteの顎関節の炎症部位へのホーミング機構ならびにそのメカニズム解明のため、生体内でのホーミングトレース用細胞採取実験に必要な消耗品および解析用試薬(細胞培養用試薬に200千円、細胞培養器具に100千円、細胞分取および細胞解析用試薬410千円(繰越し分はこちらに加える予定))に加え、実際にマウスの顎関節に試薬を投与し顎関節炎を誘発して移植した細胞の動向を観察するため、その解析に必要な試薬および動物(実験動物(マウス)に200千円、組織切片作製用試薬に200千円)に計上した。
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