2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24791987
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
須藤 遙 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (20372980)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 腫瘍生物学 |
Research Abstract |
平成24年度実施の研究内容としては以下の通りである。新たに報告された情報をもとに研究計画を修正し、実験を行った。1)微小管切断タンパクをより広く、カタニン類似のAAAタンパク質総体としてとらえなおし、より適切な切断タンパクを標的とした。公開されている種々のデータに基づき、乳癌と唾液腺腫瘍により関連性の高いものを解析した。2)切断タンパクに関する着眼点として、タウ感受性がある。タウ感受性試験はラット線維芽細胞で行うが、そのためのツール準備を中心に行った。具体的には、ヒト2N4R、0N3Rタウに加え、ヒトの口腔内での発現が新たに報告されたアイソフォームなどである。3)三番目の観点として、分裂期特有のタウの状態がある。これに関しては当初の予定通り、この状態を模した変異タウ遺伝子を作成した。陽性対照としてアルツハイマー型タウ遺伝子を準備した。分裂期紡錘体上の間接効果を調べるためのツールは予定どおり作成した。この変異をとりいれたものもさらに作成した。4)四番目のポイントとして、アルツハイマー病研究において、タウのカルパインによる切断断片が細胞毒性を示すことが報告されてきた。しかし一方、近年、毒性はないとする反対の報告もある。私の作成したツールは一部、この断片と重複する部分をもつ。毒性に関しては神経細胞だけでなく分裂する細胞においても報告がある。従ってこの効果は神経病に限らず、より広い意味で重要と考え、これを調べた。全長(2N4R、0N3R)、アルツハイマー型タウ、分裂期型タウ、間接効果抑制変異体、タウ微小管結合領域断片、をそれぞれラット線維芽細胞に導入発現し、細胞分裂の起こらない条件で細胞死を調べた。その結果、ツールは、対照、野生型タウや、他の変異体タウと比較し有意な細胞死を惹起しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究方針が変化したためである。「研究実績の概要」に記述したとおり、公共のデータベース上で更新されていく最新の報告を適切に盛り込み、実験デザインに反映させたため当初の予定より、ツール準備が複雑化したものや、既存のものが使えなくなり新たにやり直した部分がある。これらの方針変更は最終的により質の高い成果を上げるために必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究方針は次のとおりである。1)正常組織、癌組織での切断蛋白/タウの比を発現解析により調べる。2)線維芽細胞を利用し、切断蛋白のタウ感受性試験、および間接効果抑制変異体の効果試験を行う。3)不死化ヒト正常乳腺上皮細胞を用いて、分裂期タウの生理的機能を調べる。手法は生理的局在およびその修飾を免疫染色により、またチュブリン結合/非結合タウの量比を生化学的に調べる。4)線維芽細胞を用いた系で微小核を中間指標とし、タウと切断蛋白の量比を実験的に操作し、細胞のがん化との関連を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記1)については正常組織、癌組織試料や各種抗体を購入予定である。2)に関しては細胞培養に関する試薬など、および遺伝子導入試薬、免疫染色試薬を購入予定である。3)に関しては細胞、免疫染色試薬、生化学試薬、抗体などを購入予定である。4)に関しては、3と同様の試薬・消耗品の購入が必要である。
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