2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24791987
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
須藤 遙 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (20372980)
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Keywords | 腫瘍生物学 |
Research Abstract |
平成25年度実施の研究内容としては以下の通りである。新たに報告された情報をもとに研究計画を修正し、実験を行った。1)微小管切断タンパクKL1とタウの関係に焦点を絞った。各蛋白の発現レベルを乳癌患者癌組織由来サンプルで検証した。2)KL1変異体を作成し、その表現型をラット線維芽細胞の形質転換実験において調べた。その結果、野生型、変異体ともに対照に比して有意に癌化をきたした。3)形質転換実験においてさらにタウとの相互作用を調べた。全長タウ、微小管結合部位のみの断片、ともに有意にKL1による形質転換を抑制した。4)四番目のポイントとして、各種タウ由来のコンストラクトのKL1微小管切断に対する効果を調べた。線維芽細胞における感受性テストを行った。前年度に準備したロング、ショートフォーム、大型フォーム、二種の過リン酸化フォーム、そして微小管結合部位のみのフォーム等である。いずれも程度の差はあれ、抑制効果を示した。5)タウのN端由来の様々な断片の、全長タウが誘導する微小管束に対する抑制効果を検証した。N端由来の断片が細胞死を惹起すると報告されてきた背景はあるが、前年度に報告したとおり、否定的である。この前提条件下、各種断片はおよそ30-50%の抑制率を示した。これらのうち適切なものを次の正常ヒト乳腺細胞を用いた実験に使用する予定である。その他)変異体に関しては形質転換の系、微小管切断を直接見る系、ともに野生型を上回るという結果になっており、当初の予想外である。現段階では変異体のメカニズムの詳細までは踏み込まず、表現型が微小管切断活性に依存していることをおさえるにとどめ、メカニズムは次の課題内容としたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、変異体解析は予定にはなかったが、予想外に強い表現型を得たため、ある程度その機構を知るための実験を組まなくてはなかったことが一番の理由である。結果的には微小管切断を機軸としての限定的な情報を得るにとどまったたが、その結果、この蛋白に結合するパートナー分子の重要性が浮かび上がった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究方針は次のとおりである。1)初代培養ヒト正常乳腺上皮細胞におけるタウとKL1の発現について調べる。2)この細胞においてタウをノックダウンした場合、分裂期紡錘体はどう変化するか。そして染色体の分配はどう変化するかをKL1依存性に着眼し、調べる。3)神経疾患研究で微小管保護作用が確立され、次世代治療薬と考えられているペプチドが2の系でどのような作用を示すかを検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
状況としては千二百円程度では必要とする試薬備品を購入できなかったためである。 主として研究試薬購入に使用する計画である。
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