2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24791987
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
須藤 遙 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (20372980)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 微小管 / 紡錘体 / 染色体 / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
研究成果:カタニン系切断蛋白(以下“カタニン”)とタウの関係に焦点をおき、以下のような成果を得た。 1)ヒト乳癌サンプルのタンパク定量解析において、50%を越える症例でカタニン/タウ 比の上昇をきたすことを見出した。2)ラット線維芽細胞を用いた形質転換実験において、野生型カタニン過剰発現およびその乳癌変異体は有意な形質転換能を持つことを認めた。3)ラット線維芽細胞における微小管感受性試験において、分裂期型擬似リン酸化タウを含めた種々のタウ亜種が、カタニンによる微小管切断を抑制することを確認した。4)ラット線維芽細胞にカタニンを導入する系で、がん化に伴う細胞増殖、細胞死頻度、紡錘体の形態解析、分裂期染色体分配異常、微小核形成、を解析した。その結果分裂後期の異常から染色体の分配に異常をきたした。5)ヒト正常乳腺上皮細胞においてタウの発現解析、紡錘体への局在、キネトコアファイバーへの局在について、詳細なタウの生理的状況を解析した。6)乳腺上皮細胞で、タウをノックダウンする、あるいは束化抑制能すると、a)キネトコアファイバー形成が阻害、 b)染色体分配異常、 c)微小核形成、をきたすことを明らかにし、これらはカタニン依存性である。 7)タウをノックダウンした乳腺細胞より単離した紡錘体は、物理的な強度が低下していた。8)タウをノックダウンした乳腺細胞では、モナストロールによる単極紡錘体解析において、染色体の微小管結合が有意に阻害されており、プロドラッグNAPがこれを修復した。9)P53とタウをともにノックダウンした乳腺細胞での染色体解析実験を遂行し、タウをノックダウンした細胞では対照に比較して染色体の数の異常がより頻度高く生じることを見出した。 これらの結果はこれまで分裂期には微小管紡錘体から剥離、機能を失うと考えられてきたタウタンパク質の役割を意味し、新しい知見である。
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