2012 Fiscal Year Research-status Report
延髄味覚神経回路の成熟における味覚性入力の役割の解析
Project/Area Number |
24791990
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
諏訪部 武 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (00610312)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 味覚 |
Research Abstract |
新生細胞を標識するEdUを妊娠11日、12日、13日、14日のラットに腹腔内投与し、1日後に胎生ラットの新生細胞が延髄のどこに移動したかを延髄スライス標本上で観察した。妊娠11日と12日に誕生した細胞は1日後には延髄の側方まで移動していたが、13日と14日に誕生した細胞は1日後、延髄の側方に走行する孤束まで到達しておらず、延髄の内側で観察された。成長に伴い延髄は大きさが大きくなっていくので後に誕生した細胞ほど細胞の新生部位から孤束までの移動距離が長くなり、結果として13日と14日に誕生した細胞は1日では孤束に到達できなかった可能性がある。しかしながら延髄の細胞は誕生した日によって孤束核における局在に違いがある可能性も否定できない。 神経細胞の樹状突起のマーカータンパク質であるMAP2と軸索のマーカータンパク質であるNeurofilamentに対する二重免疫染色を胎生12日から18日のラット延髄スライス標本で行った。胎生12日ではMAP2とNeurofilamentの両方を発現している神経線維(三叉神経脊髄路あるいは孤束と思われる)が存在した。この共発現は胎生14日にはみられなくなった。MAP2の発現は孤束の周囲で顕著であり、孤束の神経線維が孤束の内側(孤束核)に伸長するにつれてMAP2の発現も孤束の内側で顕著になった。この結果から求心性神経線維(孤束、三叉神経脊髄路)による神経回路の成長とこれら求心性神経から入力を受ける神経細胞(樹状突起)の成長は同時に進行していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は順調に進展しているものの追加実験が必要であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
新生細胞の研究については妊娠11日、12日、13日、14日のラットにEdUの腹腔内投与後、孤束核の味覚神経回路が成熟するとされている生後50-60日で新生細胞の観察を行い、胎生ラットでみられたような新生細胞の局在が成体ラットにおいてもみられるか調べる。 神経回路の発達の研究についてはシナプス関連タンパク質とNeurofilamentあるいはMAP2に対する二重免疫染色を行い、シナプスの成長過程を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
味覚神経の神経節細胞にイオンチャネルブロッカーあるいは神経伝達物質の受容体に対するリガンドを投与して味覚情報の伝導を遮断あるいは変調させ、孤束核への味覚性入力をコントロールする。このため薬物徐放性ペレットを作成するための費用。 薬物徐放性ペレットを体内に留置した後一定期間ラットを飼育するための費用。 味覚情報の伝導を遮断あるいは変調の影響を調べるための組織学的手法に必要な薬品を購入するための費用。
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