2014 Fiscal Year Annual Research Report
延髄味覚神経回路の成熟における味覚性入力の役割の解析
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24791990
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
諏訪部 武 朝日大学, 歯学部, 講師 (00610312)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 味覚 / 孤束核 / 傍腕核 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
脳幹の細胞が盛んに新生される時期(胎齢11~14日)にチミジン類似体を妊娠ラット投与して新生細胞を標識しておき、標識された細胞の分布を仔ラットの脳幹スライス標本で観察した。平成26年度はニッスル染色した冠状断スライス標本を用い、孤束核に加えて傍腕核でも標識細胞を観察した。ニッスル染色と冠状断標本により孤束核と傍腕核の外形だけでなく、これら神経核の亜核まで確認することが可能になり、標識細胞の分布をより詳細に調べることが可能になった。傍腕核は味覚に基づいた食物の選択に大きな役割を果たす神経核であること、また味覚伝導路として孤束核と密な連絡を有しているのでこの神経核の神経回路の成熟を調べることは同じく味覚伝導路である孤束核の成熟をより深く理解するうえで重要であると考え、観察対象に加えた。新生時期の異なる細胞は孤束核での分布パターンが異なるが、傍腕核でも分布パターンが異なることが明らかとなった。孤束核吻側部では胎齢11日および12日に新生された細胞の数が圧倒的に多く、胎齢13日および胎齢14日に新生された細胞は合わせて15%程度であった。胎齢11日に新生された細胞は孤束核吻側部の各亜核に偏りなく分布していたが、胎齢12日に新生された細胞は中心亜核に比較的多く分布し、外側亜核および腹側亜核には少なかった。この結果から孤束核における味覚神経回路の構築には胎齢11日および12日に新生された細胞が大きく関与していることが明らかになった。中心亜核のニューロンは傍腕核に投射するものが多いことから胎齢12日に新生された細胞は孤束核での味覚情報処理において傍腕核に味覚情報を送る役割が大きい可能性が示唆された。また胎生期に脳幹の細胞新生が障害されれば、味覚の形成に重大な影響を与える可能性も示唆された。
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