2013 Fiscal Year Annual Research Report
低線量放射線による細胞の放射線適応応答メカニズムの解明
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24792003
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
富田 和男 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60347094)
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Keywords | ミトコンドリア / 低線量放射線 |
Research Abstract |
これまで微量な線量の放射線影響は検出が困難であったが、このようなごく低線量の放射線照射による細胞応答を定量PCR法を用いて検出を試みた。H24年度は低線量放射線照射による遺伝子発現変化について検討した。ヒト神経芽細胞腫NB1およびSK-N-SHを培養し、細胞に0.1, 1, 10, 100 mGyのX線照射を行い、RNAを抽出した。これらのRNAを用い、現有のABI社ABIPRISM7000により、SYBR Greenを用いた定量PCRを行った。その結果、NB-1細胞においてはTCA Cycle, ネクローシス, アポトーシス, 解糖系遺伝子, ヒートショックタンパク質遺伝子において非照射サンプルに比べて有意な遺伝子発現の差が見られる遺伝子の存在を明らかにした。有意に変化した遺伝子発現に関して、特にp53に関しては、10mGyおよび100mGy照射において、照射後30分、2時間後ともに遺伝子発現が有意に活性化されていたが、それ以外の遺伝子については非照射サンプルに比べ発現が抑制されていた。さらに、上記遺伝子に関して、SK-N-SH細胞においても同様に有意な発現の差が見られるか調べたところ、同じような遺伝子発現変化の傾向は見られたものの、有意な差は見られなかった。H25年度はミトコンドリアDNA障害についての検討を行った。ミトコンドリアDNA突然変異を検出するため、ミトコンドリア点突然変異のひとつであるA3243G変異を、RFLP法、SSCP法、TaqMan probeを用いた方法の3つで検出し、その感度、簡易性について比較した。その結果、TaqMan probeを用いた方法が、最も簡便で、かつ感度良く検出できることがわかった。以上より、低線量放射線照射に応答して発現が変化する遺伝子の存在が明らかとなり、またDNA突然変異を簡便かつ高感度で検出する系を確立できた。
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