2012 Fiscal Year Research-status Report
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24792004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
喜名 振一郎 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40422422)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 癌治療 |
Research Abstract |
この目的を達成するために、我々はHPV 陽性子宮頸がん細胞株を使用して、抗癌剤感受性を検討してきた。これらの細胞株は酸化ストレスに耐性を有していることが報告されている(Am J Obstet Gynecol. 2005 May;192(5):1399-403.)。20μM のシスプラチンをCaski 細胞に曝露した結果、細胞死が観察された。抗癌剤治療に反応するRTK を同定するために、シスプラチン曝露後のCaski 細胞のlysate を使用して、様々なRTK の発現量をウェスタンブロットにより検討した。これまで抗癌剤反応性の報告なされていないRTK はEphA4 である。過酸化水素曝露、Caski 細胞中でEphA4 の発現減少が観察され、過酸化水素処理によりEphA4 のチロシンリン酸化が誘導された。EphA4 は受容体型チロシンキナーゼEph のA サブクラスに属しており、Aタイプ、Bタイプ両方のエフリンとも結合する。シグナルは、受容体が発現している細胞内(順方向)および、リガンドが発現している細胞内(逆方向)の両方に生じる。 腫瘍細胞において、エフリンファミリーは、癌の伸展に関与している(Nat Rev Cancer. 2010 March; 10(3): 165–180)。続いて、活性酸素により誘導される細胞死がEphA4 を阻害することで促進されるメカニズムを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験内容は、すでに論文作成の段階にとりかかっている。本年度5月中に、英文校正を終え、学術誌に投稿予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
クラスター化されていないephrinA5-Fc でEphA4 のチロシンリン酸化が減弱しているか確認する。活性酸素依存的に誘導されるEphA4 のチロシンリン酸化を、ephrinA5-Fc とは異なる阻害剤で阻害した場合にも細胞死が抑制されるか観察する。活性酸素依存的なEphA4活性化がどのようなメカニズムで細胞死を誘導しているか検討する。抗癌剤とEphA4 の阻害剤を併用した場合、癌細胞死は抗癌剤単独と比較してどうなるか?複数の異なる種類の阻害剤を用いて確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
EphA4 の発現量と癌患者の予後との相関を検討する 定量RT-PCR を用いてEphA4 の発現量と癌患者との予後との間に相関関係がないか検討する。末梢血より、PAXgene extraction kit (Qiagen)を用いて患者のRNA を抽出する。琉球大学内の倫理審査委員会の認可を得た同意書に基づいて患者の同意を得たサンプルを使用する。抗癌剤治療をうけた患者の血液サンプル(多核球、単核球、血小板、赤血球を含む)からRNA の発現データを集める。全ての白血球の数や、白血球の分化が、健常人と比較して違いがないことを確認して、EphA4 の発現量を検討する。発現量は、Hs00177874_m1 assay against human EPHA4, the Hs99999905_m1 assay against human GAPDH (endogenous control, Applied Biosystems), をプライマーとして用い、Taqman universal PCR mastermix (Applied Biosystems)を使用する。 EphA4 の配列と癌患者の予後との関連についての検討 EphA4 の発現量と患者の予後との相関を比較して、相関関係が得られた場合には、その相関から外れた患者群においては、どうして相関関係から外れたかを、EphA4 の配列を比較することで、検討する。相関関係から外れた患者群に特定の変異が見つかった場合には、(Origene)から購入したEphA4 ベクターにその変異をQuikChange Site-Directed Mutagenesis Kit (Stratagene)を用いて導入する。その後、これらの変異が生じているEphA4は通常のEphA4 と比較して、チロシンリン酸化のされやすさに違いがないか検討する。
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