2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24792004
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
喜名 振一郎 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40422422)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | PDGF 受容体 / 抗癌剤 / 分子標的薬 / Met |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度に実施した研究の成果 舌癌に対する術前化学療法は、外科切除を最初に施行した場合と比較して、低中分化型腫瘍の無遠隔転移発生生存率を改善し、全生存率を向上させていた。しかしながら、後発転移の発生に対する効果は観察されなかった。 研究期間を通じて実施した研究の成果 何十年もの間、抗がん剤治療の主流は白金系薬剤であった。しかしながら、治療の過程で抗がん剤耐性化が生じ、患者の予後は著しく低下する。我々は、今回の研究によって、抗がん剤に曝露された癌細胞では、PDGF 受容体の活性化が生じ、その後誘導されるHGF 受容体Met の発現上昇が、抗がん剤耐性化の一つの重要なメカニズムになっていることを明らかにした。PDGF 受容体を阻害した結果、抗がん剤曝露依存的に生じるMet の発現上昇は抑制された。PDGF 受容体阻害剤は、臨床現場で幅広く使用されている分子標的薬であり、本研究により、抗がん剤耐性化にPDGF受容体阻害剤の併用が効果を発揮する可能性が示唆された。最終年度に得られた実際の臨床実績を用いた解析より、得られた分子生物学的結果は、高分化型腫瘍の抗がん剤耐性化に関与している可能性も示唆された。本研究により、抗がん剤依存的に誘導される受容体型チロシンキナーゼの活性化は、抗がん剤耐性化の重要なメカニズムであることが判明した。受容体型チロシンキナーゼは、分子標的薬として現在臨床現場で幅広く使用されている。その使用法には、単剤での使用も数多く行われているが、化学療法と併用することでその効果が増大するメカニズムを分子生物学的に証明できた点で大変重要であると考えている。
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