2013 Fiscal Year Research-status Report
細胞内シスプラチン輸送機構の解明と薬剤耐性との相関についての検討
Project/Area Number |
24792007
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
松本 忍 九州歯科大学, 歯学部, 特別研修員 (20514996)
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Keywords | シスプラチン / トランスポーター / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
我々は、シスプラチン(CDDP)の細胞内および細胞外への輸送機構を解明し薬剤耐性癌細胞の耐性機構を明らかにすることを目標として、研究を行ってきた。その中でCDDPの輸送機構に関与が示唆されている銅トランスポーターCTR1およびATP7Aに着目して、CDDP耐性との関連を検討してきた。銅トランスポーターの役割を明らかにするために、耐性機序の異なる細胞株A2780(CDDP感受性株)と2780CP(DNA除去修復能亢進によるCDDP耐性株)、およびKB(CDDP感受性株)とKBR/1.2(CDDPの細胞内蓄積量減少によりCDDP耐性を示す)を使用した。これまでに、ATP7AはA2780および2780CP間では発現に差が認められないが、KBに比べてKBR/1.2ではATP7Aの発現が低下していること、CTR1はA2780に比べて2780CPでは低発現しているが、KB、KBR/1.2では差が認められないことを確認した。また、CDDP投与によって、KBR/1.2では、CTR1の発現に変化は認められないが、ATP7Aが高発現することが確認された。銅トランスポーターの発現とCDDPの細胞内蓄積との関連性については、今後詳細に検討する予定である。 また、電子顕微鏡を用いて細胞内のPt分布の探索を行なっている。Ptの局在を特定することは、トランスポーターのCDDP輸送システムやその他の輸送機構の詳細を解明する為の足がかりになると考える。細胞内に取込まれたPtを検出するため、様々な濃度のCDDPを2~24時間投与し、試料を作成した。現在、観察に最適な電顕機器(走査型もしくは透過型)および試料の処理方法を模索しているが、細胞内Ptを明瞭に検出するには至っておらず、試料の作成段階での細胞損傷の可能性が否定できない。さらなる検討を行い、電子顕微鏡上でのPt検出を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CDDPはDNA合成阻害により抗腫瘍作用を示す。よって、CDDPの細胞内取り込み・排出を詳細に調べるにはDNAの除去修復と複製後修復とを区別する必要があり、薬剤投与前に細胞増殖を抑制すべきと考える。昨年度の報告通り、arginine deficient MEMに代わってG-MEM with L-glutamine and Phenol Redを用いて当初計画に沿った検討を行っている。 また、電子顕微鏡を用いて形態学的にPtの局在を調べることとしているが、これまでに良好な結果は得られていない。引き続き試料の作成方法に関して、改善に向けた実験を繰り返し行っている。以上のように、当初実験計画に生じた変更点を含め、おおむね順調な進展があるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、H25年度においてはほぼ計画に沿って進捗したものと考える。電顕による形態学的側面からのアプローチについては、試料作製、処理方法にもかなりの工夫を要する。他の元素を標的にした報告等を渉猟し、最適な状態で電顕像を得られるよう模索する。また、H26年度の実験計画についての大きな変更予定は現在ない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまでの研究手法においては大量の培養細胞や薬剤処理が必要であったが、H25年度からは少量の培養細胞および薬剤で行える電子顕微鏡でのCDDP細胞内局在の検討等を行ってきた。このためH25年度支出額は、申請額に比べ低くなっている。 H26年度では、電顕試料作製のための実験に加え、研究成果報告のための費用を計上していく。
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