2013 Fiscal Year Research-status Report
活性型リンパ球と破骨細胞前駆細胞の相互作用による破骨細胞分化調節機能の解明
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24792008
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
川戸 貴行 日本大学, 歯学部, 准教授 (50386075)
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Keywords | IL-18 / IL-18 binding protein / GM-CSF / RAW264.7 / CD4+ Tリンパ球 / 破骨細胞 |
Research Abstract |
研究2年目は1年目の結果を受けて,RAW264.7細胞 (RAW細胞) におけるRANKL誘導性のIL-18 BP発現増加に関与するMAPKシグナル伝達因子の検索と,RAW細胞のNF-kappa Bの核内移行に及ぼす影響について検討した。RANKL刺激を受けたRAW細胞では,MAPKシグナル伝達因子のERK1/2,p38およびSAPK/JNKのリン酸化が亢進する傾向が認められたが,半定量化による比較では,RANKL無刺激との間に統計学的有為差は認められなかった。次に,RANKLによるERK1/2,p38およびJNKのリン酸化の僅かな亢進が,RAW細胞のIL-18 BP発現増加に関与する可能性を検討するために,各因子のリン酸化阻害剤存在でのRANKL刺激培養を試みた。本実験では骨代謝を想定して,RAW細胞を破骨細胞分化誘導因子であるRANKLで刺激しており,破骨細胞の特徴である多核の巨細胞化と酒石酸抵抗性酸ホスファターゼの陽性化で破骨細胞への分化を確認している。しかしながら上記のシグナル伝達因子のリン酸化阻害剤は,RANKLによるRAW細胞の多核の巨細胞化を抑制する傾向が認められ,RAW細胞の成熟破骨細胞への分化に伴うIL-18 BPの発現変化を詳細に検討することが出来なかった。さらに,NF-kappa Bの核内移行を調べた実験では,RANKL刺激の有無に関わらず,安定的な核内タンパクの分離が難しく,RANKL刺激の影響を検討するには至らなかった。一方,骨代謝関連研究として骨芽細胞の骨形成能に及ぼすAngiotensin IIの影響を調べた結果,Angiotensin IIは,骨芽細胞のアルカリフォスファターゼ活性とオステオカルシンタンパクの発現を低下させて,細胞の石灰化物形成を抑制することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究2年目は,RAW細胞におけるRANKL刺激によるシグナル伝達経路の検索を主な目的としていたが,RANKL刺激によるMAPKシグナル伝達因子のリン酸化を分析することは出来たものの,各シグナル伝達因子のリン酸化阻害剤を用いた実験とNF-kappa Bの核内移行の確認実験では,リン酸化阻害剤存在下でのRAW細胞の破骨細胞への分化培養と核内タンパクの回収を安定的におこなうことが出来ず,RAW細胞におけるRANKL刺激誘導性のIL-18BP発現の増加に関与するシグナル伝達経路を確定するには至らなかった。一方では,研究1年目で得られたデータの詳細な分析と考察を進め,RANKL刺激を受けたRAW細胞由来のIL-18BPが,CD4+Tリンパ球におけるIL-18誘導性のGM-CSF産生を増加させることを学会発表するに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目で困難を認めたシグナル伝達経路の検索では,阻害剤の濃度や作用時間を様々に検討したが問題の克服に至らず,今後も改善策を見つけることが難しいと考えられる。そこで,研究最終年では,シグナル伝達経路の検索にこだわることなく,活性型リンパ球におけるIL-18誘導性のGM-CSFが破骨細胞の分化に及ぼす影響について検討する。すなわち,RANKL刺激あるいは無刺激のRAW細胞由来の培養上清の存在下でCD4+Tリンパ球をIL-18刺激して得られた培養上清を用いて,RAW264.7細胞をRANKL存在下で培養して,破骨細胞の分化培養を試みる。
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Research Products
(3 results)