2013 Fiscal Year Annual Research Report
下顎前歯インプラント治療時の偶発症防止への指針作成~切歯枝は本当に無視できるか?
Project/Area Number |
24792013
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
河合 泰輔 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (30350143)
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Keywords | 歯科放射線診断学 / インプラント / CBCT |
Research Abstract |
1)下顎骨の献体解剖によるCBCT画像の検証(24年度続き)。CBCT画像と比較するために献体解剖を行った。CBCT画像で切歯枝は管璧の骨硬化の部分を確認することで切歯枝と認識される。このためCBCT画像では部分的(断続的)に観察できるが、連続して切歯枝の終末まで確認するのは困難であった。しかしながらCBCT画像を多断面で三次元的に観察することで、ほとんどの試料において、切歯枝の本管を切歯付近まで観察することは可能であった。解剖献体では、終末の細い部分は分岐もあり、うまく解剖できないものもあったが、CBCT画像より末梢まで確認が可能であり、切歯枝の本管は中切歯舌側の歯槽頂付近に開口していることが明らかになった。 2)MRIでの切歯枝の検討(当初計画には無く、研究遂行中に倫理申請を行い追加)。CBCTに比べ神経血管描出に優れたMRIで切歯枝の走行を検討する計画を24年度中に立案し、MRIの撮像条件について検討をした。25年度は、MRIで1)の結果を念頭に、非破壊的に切歯枝を検討した。既にCBCT画像を別目的で撮像している被験者に対して説明・同意を得て、追加的にMRIを撮像し、切歯枝の描出能について比較・検討を行った。MRIは切歯枝に含まれる神経血管束を明瞭に描出することが可能で、同一個体のCBCT画像と比べ描出能は明らかに優れ、切歯枝本管の全容も確認することが可能であった。 3)切歯枝の確認は偶発症の発生を防止するか?MRIは神経血管損傷による偶発症防止に非常に有効な画像診断方法であると結論付けれた。しかし、空間分解能についてはCBCTが優れているため、今後、骨形態・骨構造の描出能が、インプラントの手術計画に十分利用できることが証明できれば、MRIがインプラントの画像診断において、最も安全で(切歯枝のみならず)顎骨にみられる神経血管損傷による偶発症の発生を回避できるもっとも有効な術前画像診断になると思われる。
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