2012 Fiscal Year Research-status Report
FIB-TEMを用いたエナメル質接着界面のナノレベル解析
Project/Area Number |
24792016
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高垣 智博 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60516300)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | FIB-TEM |
Research Abstract |
ヒトエナメル質接着界面において、FIBを用いたマイクロサンプリング法を応用し、TEM試料を作成、観察を実施した。硬さの異なる2種の材料の界面における加工は高度な技術を要するため、再現性の高い手法が必要とされているが、概ね安定したサンプリングができている。また、複数の機能性モノマーのエナメル質に対する化学的結合の比較を行い、そのデータの蓄積からさまざまな検討をじっしできた。これらにより、機能性モノマーがエナメル質接着の長期安定性に及ぼす影響を明らかにし、より信頼性の高い接着歯質接着システムをこうさつしている。また、エナメル質接着界面を用いた試料作成も実施し、FIBを用いたマイクロサンプリング法を、硬さの異なる2種の材料の界面において実施し、画像を得る段階まで来ている。他にも超高倍観察時のための追薄片化技術の基準を設定する必要がある。ヒトエナメル質に対して市販の接着材料を用いたサンプルを作成し、今後は際現在のあるTEM試料の作成を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エナメル質接着においては、従来からエッチングによる機械的な嵌合力が重要な役割を果たすとされてきたが、我々の近年の研究結果から機能性モノマーがその長期予後に果たす役割は非常に大きいものであることが明らかにされてきている。その中で、分子レベルでの化学的接着機序の完全なる解明が強く求められている。本研究で作成するTEM試料においては、超高倍率での観察を実施し、以下の点において成果をあげることができた。 ・FIB-TEMでの試料作成の基礎を確立し、再現性の高い手法にむけての準備ができた。 ・エナメル質での試料作成を行い、分子レベルで機能性モノマーとハイドロキシアパタイトの科学的結合機序を解析を行うことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
各種機能性モノマーならびにその有無がアパタイト結晶の形態に及ぼす影響をさらに検討する。 研究協力者でもあるクラレメディカル社の協力を得て、MDP、Phenyl-P、4-META、GPDMなどの代表的な機能性モノマーならびに新規試作モノマーを使用した2ステップセルフエッチングシステムを用いる。各種接着剤で処理されたエナメル質のアパタイト結晶がが、それぞれどのような形態を示すかをナノレベルで比較検討する。また、各機能性モノマーがアパタイト内のCaに対してどのように結合しているのかを、超高倍観察にて検討する。また、脆性歯科材料における応用の検討として、FIBによるマイクロサンプリング法を用いて、ジルコニアセラミック材料やコンポジットレジン材料における接着界面の詳細な検討への応用を検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
FIB機器は数億円単位で非常に高価であり、所属研究機関での所有ならびに維持は不可能である。そのため、他大学ならびに外部機関と連携を図り、機器使用料を支払い試料を作成する。そのため大型機器のメンテナンスに関わる費用などは、当方所有の機器(SEM,TEM)に関するものに用いる。また、それぞれの消耗品については、試料の作成ならびに評価において使用する回数などを考慮し使用する。 成果発表として、フィラデルフィアにて開催される第5回国際接着歯学会においての口演発表を予定しており、その出張費も計上している。
|