2012 Fiscal Year Research-status Report
根尖性歯周炎等の口腔内感染巣が易感染性患者の多剤耐性菌感染症に及ぼす潜在的な影響
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24792024
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
曽我 賢彦 岡山大学, 大学病院, 准教授 (70509489)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 口腔感染管理 |
Research Abstract |
骨髄抑制を伴う抗がん剤治療等で易感染状態に陥る患者は,多種多量の抗生剤による感染管理が行われるが,抗菌剤耐性菌による感染症管理で困難を伴うことが多い。医科の治療前に歯内療法等をはじめとする口腔内感染巣の除去等,歯科治療を行うことは,抗菌剤耐性遺伝子の物理的な除去に繋がっている可能性がある。 易感染性患者を対象とした歯内療法等の歯科治療の重要性を示すエビデンスを,口腔内細菌の抗生剤耐性遺伝子の保有状況という切り口で打ち出すことを目的として,研究を進めている。 研究の遂行に当たり,倫理委員会の承認を得た。申請者らは,日々の臨床の一環として,造血器腫瘍を中心とした血液疾患患者を対象に根尖性歯周炎等の歯性感染巣除去および管理を行っている。この際に,感染根管から細菌サンプルの採取を行った。また,造血幹細胞移植期に病棟往診を行う中で,口腔粘膜上から細菌サンプルの採取を行った。得られたサンプルについて,培養法にて抗菌薬感受性を調べるとともに,PCR法によりMRSAあるいはVREを規定するmecA,vanAおよびvanB等の遺伝子の保有状況を調べ,そのデータの蓄積を行った。 歯科のみならず,医科あるいは口腔ケアすなわち口腔感染管理をテーマとする看護の学会にも積極的に参加し,資料および情報収集を行った。また,得られた結果について国際学会で発表を行うとともに,結果の一部については論文としてまとめ,国際誌に受理され,発信されるに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究実施計画内容を予定通り達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き血液疾患患者を対象としてMRSAあるいはVREの抗菌剤耐性を規定するmecA,vanAおよびvanB等の遺伝子の保有状況を調べ,そのデータ蓄積を継続する。 血液・腫瘍内科の協力を得て,易感染状態の血液疾患患者における抗菌剤耐性菌検出状況のデータを得る。遺伝子の保有状況と耐性菌の保菌状況あるいは感染症の発生状況を比較検討し,全身的な抗菌剤耐性菌感染との関連を明らかにする。 得られた結果を関連学会で発表する。歯科の関連学会のみならず,白血病治療学の中心的な学会の一つである造血細胞移植学会等,医科への学会発表を積極的に行なう。日ごろの血液・腫瘍内科とのカンファレンスとともに,医科学会での学会発表で得られた意見等を参考とし,医科の国際学術誌を念頭において論文を作成し,投稿を行い,掲載されるようにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後の研究の推進方策にしたがって研究費を使用する。 細菌培養検査(抗菌薬感受性検査含む),mecA,vanAおよびvanB等の遺伝子検出に必要なPCR法に用いる試薬,データ蓄積に必要なデータベースの構築,資料・情報収集旅費,成果発表旅費,論文作成・投稿費等への研究費の使用を予定する。
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Research Products
(23 results)